胆嚢壁にみられた副肝の1例

症例は58才男性, 右季肋部不快感を主訴に入院. 胆石症の診断にて胆嚢摘除術を施行, 術中胆嚢漿膜面に楕円形, 大きさ1.7×12.×0.5cmの腫瘤が認められた. 腫瘤は表面平滑, 弾性硬, 赤褐色を呈し, 肝右葉との間に短い間膜様組織による連絡がみられた. 胆嚢は緊満し内部に3個の混合結石を認めた. 組織学的に腫瘤はほぼ正常の小葉構築を示す肝組織より成り副肝と診断した. グリソン鞘には胆管, 動脈, 静脈がみられ, 中心静脈と肝細胞索の配列に軽度の乱れをみる他には特に異常所見を認めなかつた. なお間膜様組織には動脈, 静脈, 神経束がみられたが胆管は認められず, 副肝との連絡を示す肝外胆管...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 41; no. 12; pp. 1064 - 1068
Main Authors 杉山, 雄一, 志田, 正一, 村上, 哲之, 山形, 尚正, 土田, 博, 松本, 一仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1987
国立医療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.41.1064

Cover

More Information
Summary:症例は58才男性, 右季肋部不快感を主訴に入院. 胆石症の診断にて胆嚢摘除術を施行, 術中胆嚢漿膜面に楕円形, 大きさ1.7×12.×0.5cmの腫瘤が認められた. 腫瘤は表面平滑, 弾性硬, 赤褐色を呈し, 肝右葉との間に短い間膜様組織による連絡がみられた. 胆嚢は緊満し内部に3個の混合結石を認めた. 組織学的に腫瘤はほぼ正常の小葉構築を示す肝組織より成り副肝と診断した. グリソン鞘には胆管, 動脈, 静脈がみられ, 中心静脈と肝細胞索の配列に軽度の乱れをみる他には特に異常所見を認めなかつた. なお間膜様組織には動脈, 静脈, 神経束がみられたが胆管は認められず, 副肝との連絡を示す肝外胆管の存在も明らかにすることは出来なかつた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.41.1064