腓腹筋の筋肥大をきたさず持続性高CK血症を呈したS1神経根症の1例

症例は間欠性跛行を主訴にした72歳男性.下腿三頭筋の筋肥大は全経過で明らかではなかった.Creatine kinase(CK)1,525 U/l以外は自己抗体等含め異常はなく,左腓腹筋の針筋電図検査で活動性神経原性変化を認めた.MRIでは脊柱管狭窄と左L4,両側S1神経根圧迫があり,両側腓腹筋にT2強調画像で高信号を認めた.右腓腹筋の筋病理では炎症細胞浸潤はなく,神経原性変化があり,高CK血症を伴うS1神経根症,腰部脊柱管狭窄症と診断した.S1神経根症に伴う高CK血症では腓腹筋の筋肥大を伴った報告が多いが,間欠性跛行を伴う高CK血症では下腿の筋肥大がなくてもS1神経根症の可能性を考える必要があ...

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Published in臨床神経学 Vol. 59; no. 9; pp. 592 - 595
Main Authors 中村, 崇志, 上野, 達哉, 新井, 陽, 鈴木, 千恵子, 西野, 一三, 冨山, 誠彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2019
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Summary:症例は間欠性跛行を主訴にした72歳男性.下腿三頭筋の筋肥大は全経過で明らかではなかった.Creatine kinase(CK)1,525 U/l以外は自己抗体等含め異常はなく,左腓腹筋の針筋電図検査で活動性神経原性変化を認めた.MRIでは脊柱管狭窄と左L4,両側S1神経根圧迫があり,両側腓腹筋にT2強調画像で高信号を認めた.右腓腹筋の筋病理では炎症細胞浸潤はなく,神経原性変化があり,高CK血症を伴うS1神経根症,腰部脊柱管狭窄症と診断した.S1神経根症に伴う高CK血症では腓腹筋の筋肥大を伴った報告が多いが,間欠性跛行を伴う高CK血症では下腿の筋肥大がなくてもS1神経根症の可能性を考える必要がある.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001281