脳生検後に白質病変が出現した炎症性脳アミロイド血管症の1例

症例は76歳女性.認知症の経過中に初発の全身性痙攣発作で入院した.頭部造影MRIで右後頭葉を主体とした髄膜の増強効果,大脳と小脳半球に多発する微小出血を認めたが,白質病変はなかった.右頭頂後頭葉からの生検組織でアミロイド血管症を認めた.生検の3日後,右頭頂後頭葉に白質病変が出現し,炎症性脳アミロイド血管症と考え,3クールのステロイドパルス療法,プレドニゾロン経口投与で加療を行い,髄膜・白質病変は徐々に縮小した.アポリポ蛋白E遺伝子型はε2/ε3であった.本症では脳生検によって病勢が悪化する場合があり注意を要する.また,その要因の一つとしてε2アレルの関与が考慮された....

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Published in臨床神経学 Vol. 61; no. 3; pp. 188 - 193
Main Authors 竹内, 陽介, 村端, 秀映, 中島, 誠, 植田, 光晴, 原, 靖幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2021
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001534

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Summary:症例は76歳女性.認知症の経過中に初発の全身性痙攣発作で入院した.頭部造影MRIで右後頭葉を主体とした髄膜の増強効果,大脳と小脳半球に多発する微小出血を認めたが,白質病変はなかった.右頭頂後頭葉からの生検組織でアミロイド血管症を認めた.生検の3日後,右頭頂後頭葉に白質病変が出現し,炎症性脳アミロイド血管症と考え,3クールのステロイドパルス療法,プレドニゾロン経口投与で加療を行い,髄膜・白質病変は徐々に縮小した.アポリポ蛋白E遺伝子型はε2/ε3であった.本症では脳生検によって病勢が悪化する場合があり注意を要する.また,その要因の一つとしてε2アレルの関与が考慮された.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001534