三環系抗うつ剤Amoxapineによる悪性症候群とおもわれる1例
症例は42才の男性で, 抑うつ気分, 精神運動制止, 焦燥感, 不眠, 食欲減退などの症状で発病, うつ病の診断で, sulpride及びamoxapineの抗うつ剤, 抗不安剤(etizolam), 睡眠剤(nitrazepam, haloxazolam)を投与し, 約4週間後症状は改善した. しかし約4カ月後, 再び抑うつ状態となつたため, amoxapineを2週間毎に漸増し, 225mg/日の投与を行つたところ, 約2週間後, 突然意識障害, 筋硬直, 発汗, などが出現するに至り, 緊急入院となつた. 入院時意識障害, 筋硬直, 発汗, 発熱(38.3℃), 頻脈(126/分整),...
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Published in | 医療 Vol. 44; no. 10; pp. 1078 - 1082 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
1990
国立医療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.44.1078 |
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Summary: | 症例は42才の男性で, 抑うつ気分, 精神運動制止, 焦燥感, 不眠, 食欲減退などの症状で発病, うつ病の診断で, sulpride及びamoxapineの抗うつ剤, 抗不安剤(etizolam), 睡眠剤(nitrazepam, haloxazolam)を投与し, 約4週間後症状は改善した. しかし約4カ月後, 再び抑うつ状態となつたため, amoxapineを2週間毎に漸増し, 225mg/日の投与を行つたところ, 約2週間後, 突然意識障害, 筋硬直, 発汗, などが出現するに至り, 緊急入院となつた. 入院時意識障害, 筋硬直, 発汗, 発熱(38.3℃), 頻脈(126/分整), 血圧異常(170/100), 白血球増多(12800/mm3), CPK上昇(1327IU/1)などが認められたため, 悪性症候群を疑い, 抗うつ剤などの中止と補液を行つたところ, 意識障害, 筋硬直, 発汗, 頻脈, 血圧異常はすみやかに改善した. 白血球増多は約4日, 発熱は約7日, CPK上昇は約9日で正常値となつた. 本症例のごとくamoxapineによる悪性症候群とおもわれる病像を呈した報告例はまれで興味ある症例と考えられた. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.44.1078 |