腫瘍塞栓子が左房内に存在した肺癌・心房細動併存の脳塞栓症の1剖検例

82歳男性.進行肺癌で通院中.突然の意識障害と右半身脱力で救急搬送.昏迷,全失語,右片麻痺があり,心電図にて心房細動をみとめた.頭部MRI拡散強調画像での左大脳半球の高信号域,頭部MRAでの左内頸動脈の信号欠損より,心原性脳塞栓症と判断し,脳血管内治療をおこなった.術中に回収した血栓の病理所見にて腫瘍組織の混在を確認した.入院後に治療を継続したが,第40病日に呼吸不全のため死亡した.病理解剖にて腫瘍の肺静脈内浸潤と,壁内浸潤をみとめない左心房内の壁在血栓,同血栓内の腫瘍組織の混在を確認した.進行肺癌と心房細動が併存する際には,腫瘍塞栓子が肺静脈内でなく,左心房内に存在する場合もありうる....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 60; no. 9; pp. 597 - 602
Main Authors 傳, 和眞, 今井, 啓輔, 濱中, 正嗣, 山本, 敦史, 猪奥, 徹也, 樋野, 陽子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:82歳男性.進行肺癌で通院中.突然の意識障害と右半身脱力で救急搬送.昏迷,全失語,右片麻痺があり,心電図にて心房細動をみとめた.頭部MRI拡散強調画像での左大脳半球の高信号域,頭部MRAでの左内頸動脈の信号欠損より,心原性脳塞栓症と判断し,脳血管内治療をおこなった.術中に回収した血栓の病理所見にて腫瘍組織の混在を確認した.入院後に治療を継続したが,第40病日に呼吸不全のため死亡した.病理解剖にて腫瘍の肺静脈内浸潤と,壁内浸潤をみとめない左心房内の壁在血栓,同血栓内の腫瘍組織の混在を確認した.進行肺癌と心房細動が併存する際には,腫瘍塞栓子が肺静脈内でなく,左心房内に存在する場合もありうる.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001406