MRIでラトケ囊胞からの経時的変化が確認できたトルコ鞍部の膿瘍をともなう黄色肉芽腫の1例

80歳女性.多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis; GPA)の経過中に頭痛が出現.頭部MRI上,トルコ鞍部に辺縁に造影効果をともなう占拠性病変を認めた.当初GPAの下垂体病変を疑ったが,以前のMRIでラトケ囊胞を認めたことから,囊胞内に生じた膿瘍も考えられた.経蝶形骨洞手術により病変は膿瘍をともなう黄色肉芽腫と診断され,ラトケ囊胞に膿瘍を形成し黄色肉芽腫が生じたと判断.術後,頭痛は軽快した.ラトケ囊胞と黄色肉芽腫の併存は以前から報告されているが,経時的変化を確認できた報告は本例がはじめてである.トルコ鞍部占拠性病変の鑑別診断上,以前からラトケ囊...

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Published in臨床神経学 Vol. 58; no. 6; pp. 411 - 413
Main Authors 津田, 曜, 小栗, 卓也, 櫻井, 圭太, 渡邉, 督, 前田, 永子, 湯浅, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2018
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Summary:80歳女性.多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis; GPA)の経過中に頭痛が出現.頭部MRI上,トルコ鞍部に辺縁に造影効果をともなう占拠性病変を認めた.当初GPAの下垂体病変を疑ったが,以前のMRIでラトケ囊胞を認めたことから,囊胞内に生じた膿瘍も考えられた.経蝶形骨洞手術により病変は膿瘍をともなう黄色肉芽腫と診断され,ラトケ囊胞に膿瘍を形成し黄色肉芽腫が生じたと判断.術後,頭痛は軽快した.ラトケ囊胞と黄色肉芽腫の併存は以前から報告されているが,経時的変化を確認できた報告は本例がはじめてである.トルコ鞍部占拠性病変の鑑別診断上,以前からラトケ囊胞が存在する場合,膿瘍をともなう黄色肉芽腫も考慮すべきと考えられた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001163