低用量のステロイド治療が奏功し高次脳機能障害の改善が得られた橋本脳症の1例

症例は83歳,女性.偽痛風の治療に伴う廃用症候群のリハビリテーション目的で入院した.入院後に精神症状が急速に出現し,記憶障害,前頭葉機能低下,遂行機能障害を含む全般的な認知機能低下を認めた.甲状腺機能低下症の存在,抗甲状腺抗体陽性,脳波での異常所見から橋本脳症と診断し,プレドニゾロン5 mg/日を内服した結果,抗甲状腺抗体価の低下,脳波所見の改善とともに,高次脳機能障害の改善を得られたが,記憶障害,構成障害は残存した.文献的考察から,橋本脳症には低用量でのステロイドで改善する軽症型の症例が存在する可能性が示唆されるとともに,高次脳機能障害の回復過程は症例により異なり一様ではないと考えられた....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 59; no. 9; pp. 570 - 574
Main Authors 石原, 健司, 旭, 俊臣, 内藤, 百里乃, 福井, 康仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001301

Cover

More Information
Summary:症例は83歳,女性.偽痛風の治療に伴う廃用症候群のリハビリテーション目的で入院した.入院後に精神症状が急速に出現し,記憶障害,前頭葉機能低下,遂行機能障害を含む全般的な認知機能低下を認めた.甲状腺機能低下症の存在,抗甲状腺抗体陽性,脳波での異常所見から橋本脳症と診断し,プレドニゾロン5 mg/日を内服した結果,抗甲状腺抗体価の低下,脳波所見の改善とともに,高次脳機能障害の改善を得られたが,記憶障害,構成障害は残存した.文献的考察から,橋本脳症には低用量でのステロイドで改善する軽症型の症例が存在する可能性が示唆されるとともに,高次脳機能障害の回復過程は症例により異なり一様ではないと考えられた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001301