高血圧性脳出血を契機に発見された原発性アルドステロン症の1例

高血圧性脳出血を契機として発見された左副腎アルドステロン産生腺腫による原発性アルドステロン症の39歳男性を経験した. 脳出血を初発症状とすることからすでに脳血管障害が相当進行していることが予想され, これを形態的および機能的にさらに検討するためMRI検査および133Xe-静注法による脳血流測定を実施した. 左大脳半球の陳旧性被殻出血および半球全体の軽度の萎縮像に加え両側の基底核および大脳白質にラクナ梗塞を多数認め, また両側大脳半球ですでに著明な脳血流の低下が認められた. これらは本態性高血圧症にみられる脳血管障害と同じ特徴を示している. また心, 腎, 眼底にも血管合併症が認められた. 本症...

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Published in医療 Vol. 48; no. 12; pp. 1074 - 1078
Main Authors 辻村, 晃, 岡本, 昌也, 高羽, 津, 井坂, 吉成, 今泉, 昌利, 芦田, 敬一, 飯地, 理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1994
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.48.1074

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Summary:高血圧性脳出血を契機として発見された左副腎アルドステロン産生腺腫による原発性アルドステロン症の39歳男性を経験した. 脳出血を初発症状とすることからすでに脳血管障害が相当進行していることが予想され, これを形態的および機能的にさらに検討するためMRI検査および133Xe-静注法による脳血流測定を実施した. 左大脳半球の陳旧性被殻出血および半球全体の軽度の萎縮像に加え両側の基底核および大脳白質にラクナ梗塞を多数認め, また両側大脳半球ですでに著明な脳血流の低下が認められた. これらは本態性高血圧症にみられる脳血管障害と同じ特徴を示している. また心, 腎, 眼底にも血管合併症が認められた. 本症例は原発性アルドステロン症においても本態性高血圧症と同様に高血圧が脳血管合併症の重要な危険因子であり同様の経過で脳血管障害が進行する可能性を示唆するものと考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.48.1074