著明な髄液細胞数増加と髄液糖低下を呈した視神経脊髄炎の1例

症例は57歳男性である.胸部の帯状の不快感,嘔吐,頭痛,微熱が先行し,第15病日に完全対麻痺,Th5レベル以下の感覚障害,両眼視力低下が出現したため緊急入院した.MRIではC3以下の複数の長大病変と視神経の造影効果を認め,脳脊髄液検査では細胞数が1,719/μl(多核球47.5%)と著明に上昇し,糖は20 mg/dlと低下していた.抗菌薬,抗ウイルス薬投与下に強力な免疫治療を行い,比較的良好な視機能予後を得たが,対麻痺は残存した.感染症を示唆する検査所見はなく,後日抗アクアポリン4抗体陽性が判明した.視神経脊髄炎でも髄液糖が低下する可能性に留意すべきである....

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Published in臨床神経学 Vol. 56; no. 8; pp. 569 - 572
Main Authors 藤倉, 舞, 横川, 和樹, 静川, 裕彦, 下濱, 俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2016
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Summary:症例は57歳男性である.胸部の帯状の不快感,嘔吐,頭痛,微熱が先行し,第15病日に完全対麻痺,Th5レベル以下の感覚障害,両眼視力低下が出現したため緊急入院した.MRIではC3以下の複数の長大病変と視神経の造影効果を認め,脳脊髄液検査では細胞数が1,719/μl(多核球47.5%)と著明に上昇し,糖は20 mg/dlと低下していた.抗菌薬,抗ウイルス薬投与下に強力な免疫治療を行い,比較的良好な視機能予後を得たが,対麻痺は残存した.感染症を示唆する検査所見はなく,後日抗アクアポリン4抗体陽性が判明した.視神経脊髄炎でも髄液糖が低下する可能性に留意すべきである.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-000753