腸閉塞をきたした回腸末端部平滑筋腫の1例

症例は74歳男性.嘔吐,腹痛を主訴に近医受診し,腹部CT検査で回腸末端部に石灰化を伴う35mm大の腫瘤性病変とその口側小腸の拡張を認めた.受診4年前の腹部CT検査で腫瘤を指摘されていたが本人の希望で精査していなかった.腫瘤は4年間増大傾向を認めていなかったが,腸閉塞をきたしていたため,腸管拡張改善後に待機的に手術を行った.悪性腫瘍の可能性も否定できなかったため,手術は周囲小腸間膜リンパ節郭清を含めた腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.切除検体の肉眼所見は被膜を有する黄色充実性病変で内部には石灰化を伴っていた.病理組織学的検査では回腸末端領域の固有筋層内を主座とする40×35×32mmの結節病変で,...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 77; no. 4; pp. 205 - 210
Main Authors 髙田, 直樹, 小菅, 誠, 会澤, 大介, 岡本, 敦子, 中野, 貴文, 今泉, 佑太, 菅野, 宏, 武田, 泰裕, 大熊, 誠尚, 衛藤, 謙
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本大腸肛門病学会 2024
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Summary:症例は74歳男性.嘔吐,腹痛を主訴に近医受診し,腹部CT検査で回腸末端部に石灰化を伴う35mm大の腫瘤性病変とその口側小腸の拡張を認めた.受診4年前の腹部CT検査で腫瘤を指摘されていたが本人の希望で精査していなかった.腫瘤は4年間増大傾向を認めていなかったが,腸閉塞をきたしていたため,腸管拡張改善後に待機的に手術を行った.悪性腫瘍の可能性も否定できなかったため,手術は周囲小腸間膜リンパ節郭清を含めた腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.切除検体の肉眼所見は被膜を有する黄色充実性病変で内部には石灰化を伴っていた.病理組織学的検査では回腸末端領域の固有筋層内を主座とする40×35×32mmの結節病変で,免疫組織化学的にはdesmin陽性,α-SMA陽性,c-kit陰性であり,平滑筋腫の診断であった.術後経過は良好で第7病日に退院となった.術後1年を経過し,平滑筋腫の再発は認めていない.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.77.205