17才男子に発生した腎癌の1剖検例

腎実質細胞癌(Grawitz腫瘍)の若年者における発生はきわめて稀とされているが, 私どもは17才男子の同腫瘍剖検例を経験したので報告する. 症例 入院時16才の男子. 主訴 乾性咳漱および血痰. 家族歴, 既往歴ともに特記すべきものなし. 現病歴 昭和41年12月ころより, 鼻汁多過, 乾性咳漱, 咳漱時頭痛あり. 42年1月, わずかに嚥下困難を感じたが後, 軽快した. 時に呼吸困難もあった. 気管支炎の診断の下に治療を受けたが軽快せず, 2月血痰あり, レ線検査の結果精査を誘められて, 3月7日国立名古屋病院受診, 3月15日入院. この間発症以来体重約3kg減少あり. 入院時, 体格,...

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Published in医療 Vol. 22; no. 9; pp. 1057 - 1060
Main Authors 田村, 潤, 後藤, 寿美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1968
医療同好会
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Summary:腎実質細胞癌(Grawitz腫瘍)の若年者における発生はきわめて稀とされているが, 私どもは17才男子の同腫瘍剖検例を経験したので報告する. 症例 入院時16才の男子. 主訴 乾性咳漱および血痰. 家族歴, 既往歴ともに特記すべきものなし. 現病歴 昭和41年12月ころより, 鼻汁多過, 乾性咳漱, 咳漱時頭痛あり. 42年1月, わずかに嚥下困難を感じたが後, 軽快した. 時に呼吸困難もあった. 気管支炎の診断の下に治療を受けたが軽快せず, 2月血痰あり, レ線検査の結果精査を誘められて, 3月7日国立名古屋病院受診, 3月15日入院. この間発症以来体重約3kg減少あり. 入院時, 体格, 栄養中等, 体温37.4℃. 貧血なし. 右胸壁および脊部に幼時よりの血管腫あり. 右鎖骨上窩リンパ節, 小豆大1個を硬く触れる. 胸部理学的所見異常なく, 腹壁緊張著明で, 肝, 脾, 腎を触れない. 外来受診時の胸部レ線所見では, 両肺門部に境界鮮明な腫瘤状陰影を見る.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.22.1057