フルフェナム酸アルミニウムに起因したと思われる出血性大腸炎の1例

症例は, 74歳, 女性. 変形性膝関節症で, フルフェナム酸アルミニウム(以下FFAAと略す)250mgを日に3回服用し, 約2週間後に腹痛, 下痢, 下血出現し入院. 注腸で下行結腸に多数の憩室を認め, また内視鏡で下行結腸からS状結腸の粘膜の浮腫, 発赤および散在性の出血性病変を認め, 出血性大腸炎と診断した. 便培養では常在菌のみであった. FFAA内服中止し症状消失した. FFAAによるリンパ球刺激試験は陰性であった. 本症例は3年前にも同様の症状で入院. その時にもFFAA投与後約3ヵ月で発症し, 中止後改善していた. 以上よりFFAA起因性出血性大腸炎が強く疑われた. FFAA起...

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Published in医療 Vol. 47; no. 12; pp. 999 - 1003
Main Authors 川口, 美佐男, 竿代, 丈夫, 平塚, 任, 本田, 三平, 中山, 秀次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1993
国立医療学会
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Summary:症例は, 74歳, 女性. 変形性膝関節症で, フルフェナム酸アルミニウム(以下FFAAと略す)250mgを日に3回服用し, 約2週間後に腹痛, 下痢, 下血出現し入院. 注腸で下行結腸に多数の憩室を認め, また内視鏡で下行結腸からS状結腸の粘膜の浮腫, 発赤および散在性の出血性病変を認め, 出血性大腸炎と診断した. 便培養では常在菌のみであった. FFAA内服中止し症状消失した. FFAAによるリンパ球刺激試験は陰性であった. 本症例は3年前にも同様の症状で入院. その時にもFFAA投与後約3ヵ月で発症し, 中止後改善していた. 以上よりFFAA起因性出血性大腸炎が強く疑われた. FFAA起因性出血性大腸炎は1990年までに検索した範囲では自験例を含め3例の報告があるのみである. メフェナム酸起因性大腸炎15例の報告と対比し検討した.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.47.999