メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染患者における硫酸アルベカシンの血清中濃度モニタリングの有用性についての研究

「緒言」 硫酸アルベカシン(ABK)は, 本邦でのみ承認されており, 現在塩酸バンコマイシン, テイコプラニンとともにメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症に有効な数少ない薬物の一つと位置づけられている. ABKのMRSA肺炎に対する有効率は, 林ら1)による全国規模の調査においてABK単独で60.5%にとどまっており, 良好な結果といえるものではない. また, 松野ら2)もABKの添付文書に沿った投与量における有効率は57%であったと報告している. 当院においても従来ABKの投与は, 添付文書に沿った用法用量で実施され, 臨床医からABKの有効性は低いという評価をされていた. なお,...

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Published in医療薬学 Vol. 27; no. 2; pp. 123 - 131
Main Authors 祢宜田, 和正, 山下, 雅代, 久保田, 敏行, 杉浦, 洋二, 三浦, 崇則, 勝見, 章男, 太田, 満, 齋竹, 達郎, 戸澤, 良夫, 水谷, 勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2001
日本医療薬学会
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Summary:「緒言」 硫酸アルベカシン(ABK)は, 本邦でのみ承認されており, 現在塩酸バンコマイシン, テイコプラニンとともにメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症に有効な数少ない薬物の一つと位置づけられている. ABKのMRSA肺炎に対する有効率は, 林ら1)による全国規模の調査においてABK単独で60.5%にとどまっており, 良好な結果といえるものではない. また, 松野ら2)もABKの添付文書に沿った投与量における有効率は57%であったと報告している. 当院においても従来ABKの投与は, 添付文書に沿った用法用量で実施され, 臨床医からABKの有効性は低いという評価をされていた. なお, ABKの添付文書には, 「成人には, 硫酸アルベカシンとして, 1日150~200mgを2回に分け, 筋肉内注射または点滴静注する. 点滴静注においては30分~2時間かけて注入する. 」と記載されている3). 一方, ABKは他のアミノグリコシド系薬物(AGs)同様, その治療域が狭く, 薬物血中濃度モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring:TDM)が推奨されている薬物でもある.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.27.123