血清分離剤入り滅菌真空採血管中での薬物血中濃度の変化

薬物の血中濃度測定には血漿あるいは血清が用いられる場合が多く, 採血時の効率の良さから血清分離剤入り真空採血管が汎用されている. 真空採血管は採血管内を減圧にすることにより自動的に血液を採取できるように設計されたものであり, この利便性の反面, 使用時に適切な手順で採血を行わない場合, 採血管内の細菌等が逆流し患者の体内に入る可能性があることが指摘されてきた. 1974年, カナダにおいて非滅菌真空採血管の使用に起因すると思われる敗血症の発生が明らかになり1), その後次々と非滅菌採血管の危険性が報じられて以来, 欧米においては滅菌済み真空採血管の使用が標準化されている2~5). 従来, わが...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療薬学 Vol. 31; no. 7; pp. 537 - 543
Main Authors 山崎, 啓之, 古屋, 弓子, 瀬戸口, 奈央, 日高, 宗明, 岩切, 智美, 奥村, 学, 児玉, 裕文, 有森, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2005
日本医療薬学会
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:薬物の血中濃度測定には血漿あるいは血清が用いられる場合が多く, 採血時の効率の良さから血清分離剤入り真空採血管が汎用されている. 真空採血管は採血管内を減圧にすることにより自動的に血液を採取できるように設計されたものであり, この利便性の反面, 使用時に適切な手順で採血を行わない場合, 採血管内の細菌等が逆流し患者の体内に入る可能性があることが指摘されてきた. 1974年, カナダにおいて非滅菌真空採血管の使用に起因すると思われる敗血症の発生が明らかになり1), その後次々と非滅菌採血管の危険性が報じられて以来, 欧米においては滅菌済み真空採血管の使用が標準化されている2~5). 従来, わが国においては滅菌済みおよび未滅菌の両真空採血管が市場に流通していたが, 平成15年, 厚生労働省より逆流防止のための採血法の自主点検を行うべき旨の通達が発せられた後6), 平成16年1月には, 安全性確保の観点から7月1日までに滅菌処理を施した製品(以下, 滅菌真空採血管と略す)の製造, 輸入に切り替え, 12月1日以降は市場に未滅菌の製品が流通することのないよう対応すべき旨の通達が発せられた7).
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.31.537