呼吸器疾患診療と気管支肺胞洗浄法

呼吸器疾患における疾病構造は最近20年余の間に大きな変貌を遂げており, 臨床のどの科よりも激しいものだつたとおもわれる. すなわち肺結核から肺癌及び免疫性呼吸器疾患に大きな変遷をたどろうとしている. 診療面での第一の画期的進歩はフレキシブル気管支鏡の開発によりもたらされた. 第二には, 10年余前に気管支肺胞洗浄法(BAL)という新しい検査法が開発され, 診断及び病態の把握, さらには原因不明の肺疾患に対する病因解明のアプローチにと画期的な役割を果たしつつある. 本稿では本法の方法を詳述する. 本法により, 過敏性肺炎・サルコイドーシスでのBAL液中リンパ球の増加, DPBでの好中球の著増など...

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Published in医療 Vol. 44; no. 10; pp. 963 - 968
Main Authors 池尻, 公二, 長田, 高寿, 前川, 宗一郎, 竹山, 博泰, 吉田, 康洋, 竹尾, 貞徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1990
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.44.963

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Summary:呼吸器疾患における疾病構造は最近20年余の間に大きな変貌を遂げており, 臨床のどの科よりも激しいものだつたとおもわれる. すなわち肺結核から肺癌及び免疫性呼吸器疾患に大きな変遷をたどろうとしている. 診療面での第一の画期的進歩はフレキシブル気管支鏡の開発によりもたらされた. 第二には, 10年余前に気管支肺胞洗浄法(BAL)という新しい検査法が開発され, 診断及び病態の把握, さらには原因不明の肺疾患に対する病因解明のアプローチにと画期的な役割を果たしつつある. 本稿では本法の方法を詳述する. 本法により, 過敏性肺炎・サルコイドーシスでのBAL液中リンパ球の増加, DPBでの好中球の著増などの知見が確立され, 一方, 気管支喘息ではその複雑多岐にわたる病態が解明されつつある. 本法が臨床的に威力を発揮しつつある分野としては, immunocompromised hostにおける肺病変及び薬剤性肺炎の診断などがあり現況を報告する. 最後にBALにより判明しつつある諸事実を報告するとともに, 呼吸器診療の今後の問題点にも少しふれた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.44.963