病棟における看護師の注射薬の取扱いに関する調査

最近, 頻繁に報道される医療事故の多くは, 医薬品の取り違え, 用量, 用法の間違いなど, 誤薬によるものである. このような医薬品関連の医療事故は, 薬剤師がより深く関与することによって, 未然に防ぐことが可能であると考えられる. 例えば竹内らは, 院内で発生したインシデントのうち, 約4割が薬剤に関連するものであったと報告している1). 特に注射薬については, 内用薬や外用薬とは異なり, 血中濃度の上昇が速やかで, 発現する効果も強いため, その取扱いには十分な注意を払わなければならない. 名徳は, 病院薬剤師が内, 外用薬同様, 注射薬業務の処方監査, 混合調製を含めた調剤, 配薬といっ...

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Published in医療薬学 Vol. 31; no. 8; pp. 638 - 645
Main Authors 東, 英津子, 小笠原, 明美, 川上, 純一, 三村, 泰彦, 足立, 伊佐雄, 山之内, 恒昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2005
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.31.638

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Summary:最近, 頻繁に報道される医療事故の多くは, 医薬品の取り違え, 用量, 用法の間違いなど, 誤薬によるものである. このような医薬品関連の医療事故は, 薬剤師がより深く関与することによって, 未然に防ぐことが可能であると考えられる. 例えば竹内らは, 院内で発生したインシデントのうち, 約4割が薬剤に関連するものであったと報告している1). 特に注射薬については, 内用薬や外用薬とは異なり, 血中濃度の上昇が速やかで, 発現する効果も強いため, その取扱いには十分な注意を払わなければならない. 名徳は, 病院薬剤師が内, 外用薬同様, 注射薬業務の処方監査, 混合調製を含めた調剤, 配薬といった各プロセスで積極的に関与することにより, 注射薬による医療事故を未然に防止することが可能となったと報告している2). 川村らの平成11年度厚生科学研究「医療のリスクマネージメントシステム構築に関する研究」においては, 看護のヒヤリ, ハット事例の分析結果により, 注射, 点滴, IVHに関する事例が全事例の31.4%を占めていることが報告されている3). したがって, 注射薬の使用に際しては, 薬剤師が医療従事者に対して適正かつ安全に使用するための情報を提供することが必要不可欠である.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.31.638