心臓外科領域におけるジギタリス療法

うつ血性心不全, 上室性頻拍症および頻脈型の心房細動などは強心配糖体の適応症として, 異論のないところである. 最近, いわゆる潜在性心不全の時期にジギタリス剤を使用し, 早期診断, 早期治療に役立てようとする考え方もある. 1) また, 外科領域においても術後経過を良好とするために, 予防的に強心配糖体が用いられている. 特に心手術に際しては, 強心配糖体の使用は必須と考えられる. 私たちの行なつている強心配糖体の使用法についてのべる. 「症例」第1例は肺動脈弁狭窄症兼心房中隔欠損症(以下「PS・ASD」と略す)で52才・男, NYHAの第III度で, 軽度のチアノーゼあり, 心電図は心房細...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 26; no. 4; pp. 311 - 314
Main Authors 黒沢, 博身, 藤倉, 一郎, 安西, 信行, 伊藤, 忠弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1972
医療同好会
Online AccessGet full text
ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.26.311

Cover

More Information
Summary:うつ血性心不全, 上室性頻拍症および頻脈型の心房細動などは強心配糖体の適応症として, 異論のないところである. 最近, いわゆる潜在性心不全の時期にジギタリス剤を使用し, 早期診断, 早期治療に役立てようとする考え方もある. 1) また, 外科領域においても術後経過を良好とするために, 予防的に強心配糖体が用いられている. 特に心手術に際しては, 強心配糖体の使用は必須と考えられる. 私たちの行なつている強心配糖体の使用法についてのべる. 「症例」第1例は肺動脈弁狭窄症兼心房中隔欠損症(以下「PS・ASD」と略す)で52才・男, NYHAの第III度で, 軽度のチアノーゼあり, 心電図は心房細動, 手術所見はPSが主でASDは卵円孔程度, DC-Shockにて洞調律となり現在も洞調律を維持している. 第2例は心房中隔欠損症(以下「ASD」と略す)36才・男の症例でNYHAの第II度, 第3例は肺動脈弁狭窄症(PS)16才・男の症例でNYHAの第I度で, 図1に示すようなジギタリス剤の投与法を行なつた. 第1, 第2例ではCTRの減少が著明である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.26.311