子宮頸部初期悪性変化の組織学的研究

子宮頸部の病変は膣腔から肉眼視できるので, 癌の早期発見は他の部位と比べて容易である. さらに, 今日では細胞診の応用によつて, 癌に先行する不可視の病変の発見も可能となり, 年々発見の頻度が高まつている. われわれは10数年来, 良性および初期悪性変化の子宮頸部を組織検索して, 頸癌の組織由来や進展の様式について研究を続けている. これまでにえた知見は, 学会発表や論文として発表しているが, その後に研究した事項もまとめて以下その概要を記述することとする. 「子宮頸部の扁平円柱上皮境界(Squamocolumnar junction, SCJ)」子宮頸癌に先行する上皮内癌は, 頸部の扁平円柱...

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Published in医療 Vol. 22; no. 3; pp. 275 - 289
Main Authors 小島, 俊彦, 西島, 啓輔, 森越, 進, 松本, 裕史, 小林, 清二, 遠藤, 幸三, 立岩, 孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1968
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.22.275

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Summary:子宮頸部の病変は膣腔から肉眼視できるので, 癌の早期発見は他の部位と比べて容易である. さらに, 今日では細胞診の応用によつて, 癌に先行する不可視の病変の発見も可能となり, 年々発見の頻度が高まつている. われわれは10数年来, 良性および初期悪性変化の子宮頸部を組織検索して, 頸癌の組織由来や進展の様式について研究を続けている. これまでにえた知見は, 学会発表や論文として発表しているが, その後に研究した事項もまとめて以下その概要を記述することとする. 「子宮頸部の扁平円柱上皮境界(Squamocolumnar junction, SCJ)」子宮頸癌に先行する上皮内癌は, 頸部の扁平円柱上皮境界(SCJ)の円柱上皮側に発生することは, すでに周知の事実である. この原因として, この部分に発癌性刺激がとくに強く働くのか, あるいはこの部分の上皮が本来癌化しやすい性質をもつているのかの2つが想定される. SCJの狭い部分にのみ発癌刺激が異常に強く作用することは考えにくいので, 上皮自身の発癌しやすい性質を推定することが妥当である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.22.275