進行性筋萎縮症患者の尿中に排泄されるDiphosphopyridin Nucleotideについて

進行性筋萎縮症(以下「PMD」と略す)の尿の化学的特徴として, 古くから各種の報告があるが, そのうち, 高クレアチン尿と低クレアチニン尿は広く一般に受入れられている. その他, アミノ酸尿1)や五炭糖尿2)8)~10)についても種々の論議がなされており, 特に後者については次のような報告がある. すなわち, 1948年Minotら2)はRiboseは遊離して排泄されるのではなく, Riboseと燐を含んだComplexとして常に排泄されていると報告し, 1955年, Ronzoniら10)も同様にAdenyl酸として存在するものと指定した. また1956年, Towerら8)9)は3~10倍...

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Published in医療 Vol. 21; no. 7; pp. 827 - 834
Main Authors 近藤, 文雄, 阿部, 英治, 池田, 正夫, 無江, 季次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1967
医療同好会
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Summary:進行性筋萎縮症(以下「PMD」と略す)の尿の化学的特徴として, 古くから各種の報告があるが, そのうち, 高クレアチン尿と低クレアチニン尿は広く一般に受入れられている. その他, アミノ酸尿1)や五炭糖尿2)8)~10)についても種々の論議がなされており, 特に後者については次のような報告がある. すなわち, 1948年Minotら2)はRiboseは遊離して排泄されるのではなく, Riboseと燐を含んだComplexとして常に排泄されていると報告し, 1955年, Ronzoniら10)も同様にAdenyl酸として存在するものと指定した. また1956年, Towerら8)9)は3~10倍量の尿を使用して, 遊離のRiboseが排泄されていると主張し, ことに尿のUreaseによる処置は糖の検出を妨害すると述べた. われわれは, これらの報告に興味を持ち, 五炭糖尿の追求が, 本症の病因究明上何らかの手掛りを与えるかも知れないという考えの下に, 当所に収容中のPMD患者39名について組織的な検索を試みた. すなわち, 患者の早朝尿について, 核酸あるいは核酸様物質の単離検出を日的として, DowexによるColumn chromatographyを用いて追求した. その結果, 全例中1例に明らかにDiphosphopyridin nucleotide(以下「DPN」と略す)の存在を証明することに成功し, 他の2例にもその尿のAbsorption curveのPatternからDPNの存在を推測することができたのでそれらについて報告する.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.21.827