登校拒否について

児童の神経症の1つとして考えられている登校拒否(学校恐怖症)が最近, 児童精神医学, 心理, 教育関係ばかりでなく, 一般のマスコミからも取りあげられ, 社会問題化されはじめている. 児童の神経症や神経症的行動はきわめて多数が知られているが, 登校拒否ほど広く一般で問題にされたものは他にないと思われる. 本症が文献にみられるようになったのは, 1941年で, A. M. Johnson1)によるという. それによると, 1932年に書かれたI. Broadwinの怠学に関する論文のうち, Psychoneurotic factorの記載に注目し, 本人の感情的葛藤, 母の不安などをとりあげ,...

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Published in医療 Vol. 21; no. 2; pp. 216 - 223
Main Author 渡辺, 位
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1967
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.21.216

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Summary:児童の神経症の1つとして考えられている登校拒否(学校恐怖症)が最近, 児童精神医学, 心理, 教育関係ばかりでなく, 一般のマスコミからも取りあげられ, 社会問題化されはじめている. 児童の神経症や神経症的行動はきわめて多数が知られているが, 登校拒否ほど広く一般で問題にされたものは他にないと思われる. 本症が文献にみられるようになったのは, 1941年で, A. M. Johnson1)によるという. それによると, 1932年に書かれたI. Broadwinの怠学に関する論文のうち, Psychoneurotic factorの記載に注目し, 本人の感情的葛藤, 母の不安などをとりあげ, 母子が依存的関係にあることをPsychodynamicな立場から「母子間の未解決な依存関係による児童の神経症である」と説明し, それは登校拒否を主症状とするとしている. 1953年C. Coolidge2)は学校恐怖症をPsychoanalyticな立場から説明し, 神経症群と性格障害群に二大別し, 前者は急性に発現し, 母親へしがみつくという退行的症状を呈するが, 基本的性格は無傷であるのに対し, 後者は, その役割を果し得なかった両親の影響をうけて, その性格の成長がさまたげられ, 神経症としての地盤が作られるものと説明している.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.21.216