札幌における最近の輸血後肝炎発生率に関する1考察

近年わが国の輸血後肝炎発生率は, 無黄疸型を含めると著しく高率であることが, 広く認められている. すなわち, 岩野,1) 布引,2) 上野3)らは, それぞれ約30%, 北本,4) 若倉5)らは, それぞれ約64%であると報告している. しかもこれら発病者症例には, 山形,6) 上野,3) 織田7)らによると, 23~53%に慢性化をみる, としている. したがって, これら著しく高率な罹患率, および高率な慢性化率は, 医学的にも, 社会的にも大きな問題であり, その対策が要求されている. われわれは, 輸血後肝炎の慢性化を可及的に防ぐことが, 急務であると考えているが, そのためにはまず...

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Published in医療 Vol. 21; no. 4; pp. 418 - 425
Main Authors 古谷, 健太郎, 三国, 主税, 氏家, 忠, 大島, 幹男, 下田, 晶久, 高垣, 亥之助
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1967
医療同好会
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Summary:近年わが国の輸血後肝炎発生率は, 無黄疸型を含めると著しく高率であることが, 広く認められている. すなわち, 岩野,1) 布引,2) 上野3)らは, それぞれ約30%, 北本,4) 若倉5)らは, それぞれ約64%であると報告している. しかもこれら発病者症例には, 山形,6) 上野,3) 織田7)らによると, 23~53%に慢性化をみる, としている. したがって, これら著しく高率な罹患率, および高率な慢性化率は, 医学的にも, 社会的にも大きな問題であり, その対策が要求されている. われわれは, 輸血後肝炎の慢性化を可及的に防ぐことが, 急務であると考えているが, そのためにはまず, 輸血後の肝炎の発病を診断することから開始しなければならないと思ったので, 原則として, 一定の間隔で肝機能検査を行ない, つとめて発病者を発見して, その治療を行なってきた. この資料をもとに, 輸血後肝炎の発生率について検討した. 「研究対象および方法」当国立札幌病院において, 1964年9月1日から, 1965年5月31日までの9ヵ月間に輸血した200例について, 約4週間に1回, SGOT, SGPTを測定し, 必要に応じて, 他の諸検査を行なったが, これらのうち, 輸血後3ヵ月間以上にわたりTraceすることのできた98例を調査対象とした.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.21.418