人々の意思決定過程とリスク認知特性を考慮した河川災害情報提供方法に関する研究

本研究は, 河川災害リスク情報の適切な提供方法に関する有用な知見を得ることを目的としている. 人々の避難等の判断, 対応行動に至る意思決定過程を明らかにするため, 札幌市在住22人の7036個の発話データを収集してプロトコル法を適用した結果, 3つの思考過程に分類された. 思考過程に応じて, 避難命令や浸水などの災害情報の他, 避難経路, 家族や自宅等の多様な情報が対応行動を促す根拠となっている. また, 災害前の河川災害リスク認知が, 思考過程に影響を及ぼすことが示唆されたため, 札幌市, 石狩市の市場価格地価データ812地点を対象にヘドニック・アプローチを用いた土地評価からリスク認知を分析...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in土木学会論文集 Vol. 2005; no. 800; pp. 800_1 - 800_14
Main Author 矢部, 浩規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 土木学会 2005
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:本研究は, 河川災害リスク情報の適切な提供方法に関する有用な知見を得ることを目的としている. 人々の避難等の判断, 対応行動に至る意思決定過程を明らかにするため, 札幌市在住22人の7036個の発話データを収集してプロトコル法を適用した結果, 3つの思考過程に分類された. 思考過程に応じて, 避難命令や浸水などの災害情報の他, 避難経路, 家族や自宅等の多様な情報が対応行動を促す根拠となっている. また, 災害前の河川災害リスク認知が, 思考過程に影響を及ぼすことが示唆されたため, 札幌市, 石狩市の市場価格地価データ812地点を対象にヘドニック・アプローチを用いた土地評価からリスク認知を分析した. 河川災害リスクを定量化してリスクが認知されていることを実証し, 過去や現在・将来の浸水規模, 発生時点からの時間経過, 浸水地点からの距離等要因の認知特性を顕在化した.
ISSN:0289-7806
1882-7187
DOI:10.2208/jscej.2005.800_1