転移性臍癌について

最近臍硬結を主訴として来院せる2例の患者に, 報告の少ない消化管の転移性臍癌を認めたので報告する. 症例 症例1 K.I. 53才, 農夫 主訴 臍部硬結, 体重減少 家族歴 既往歴, 特記すべきことなし. 現病歴 来院2カ月前より臍部に硬結を認めたが, 自覚症状のないまま放置していた. 1カ月前より心窩部痛を訴えるようなり, 体重減少も認めるようになり来院した. 悪心, 嘔吐, 下血は認めず. 来院時所見 一般状態は比較的良好, 腹部は平坦, 軟, 肝, 脾, 腎は触れず. 臍部にクルミ大の硬い腫瘤があり, 可動性はなく, 出血, 分泌液を認めず, 周囲に炎症性変化はない(図1). 直腸指診...

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Published in医療 Vol. 24; no. 5; pp. 416 - 418
Main Authors 笹村, 雅人, 三上, 俊郎, 山形, 尚正, 津島, 恵輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1970
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.24.416

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Summary:最近臍硬結を主訴として来院せる2例の患者に, 報告の少ない消化管の転移性臍癌を認めたので報告する. 症例 症例1 K.I. 53才, 農夫 主訴 臍部硬結, 体重減少 家族歴 既往歴, 特記すべきことなし. 現病歴 来院2カ月前より臍部に硬結を認めたが, 自覚症状のないまま放置していた. 1カ月前より心窩部痛を訴えるようなり, 体重減少も認めるようになり来院した. 悪心, 嘔吐, 下血は認めず. 来院時所見 一般状態は比較的良好, 腹部は平坦, 軟, 肝, 脾, 腎は触れず. 臍部にクルミ大の硬い腫瘤があり, 可動性はなく, 出血, 分泌液を認めず, 周囲に炎症性変化はない(図1). 直腸指診にて肛門輪より5cm前壁に鶏卵大の腫瘤をふれ, 易出血性であつて精査のため入院せしめた. 入院時所見 赤血球425x104, 白血球8,700, Ht45%, Hb90%, 血小板22万, 血液像は異常なく, 肝機能, 尿所見は正常, 屎に回虫卵を認め, 潜血反応は強陽性であつた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.24.416