発症時抗アクアポリン4抗体陰性であり,のちに陽性に転じた視神経脊髄炎スペクトラム障害の1例
抗アクアポリン(aquaporin,以下AQPと略記)4抗体陰性で多発性硬化症(multiple sclerosis,以下MSと略記)として加療していたが,再発時に陽性となり,視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disorder,以下NMOSDと略記)と診断した1例を経験した.58歳女性,左顔面痛・嘔吐・吃逆で発症しMRIで延髄から頸髄にT2高信号を認めた.ステロイドパルス療法で症状は改善したが,半年後に左顔面痛・複視・歩行障害が出現し,左中小脳脚に新規病変を認めた.時間的空間的多発性と抗AQP4抗体陰性よりMSと診断した.フィンゴリモドで...
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Published in | 臨床神経学 Vol. 62; no. 5; pp. 351 - 356 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2022
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Subjects | |
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ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-001626 |
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Summary: | 抗アクアポリン(aquaporin,以下AQPと略記)4抗体陰性で多発性硬化症(multiple sclerosis,以下MSと略記)として加療していたが,再発時に陽性となり,視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disorder,以下NMOSDと略記)と診断した1例を経験した.58歳女性,左顔面痛・嘔吐・吃逆で発症しMRIで延髄から頸髄にT2高信号を認めた.ステロイドパルス療法で症状は改善したが,半年後に左顔面痛・複視・歩行障害が出現し,左中小脳脚に新規病変を認めた.時間的空間的多発性と抗AQP4抗体陰性よりMSと診断した.フィンゴリモドで3.5年間経過良好だったが発症8年後に短期間に多発する視神経炎,脳病変が出現した.この際,抗AQP4抗体陽性化を認め,NMOSDと診断した.NMOSDでは抗体が後から陽性化する例があり,MSとして加療中に再発を繰り返す場合には抗AQP4抗体再検を考慮すべきである. |
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ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001626 |