歯周局所の環境の違いがスケーリング, ルートプレーニング後の歯肉縁下プラーク再形成に与える影響

本研究の目的は, 歯周局所の環境の違いがスケーリング, ルートプレーニング後の, 歯肉縁下プラーク再形成に及ぼす影響を検索することである。10名の被験者から健常部位 (H群), 歯周炎罹患部位 (P群) を各1部位選択し, 実験開始時に縁上縁下のスケーリング, ルートプレーニングを行い, 象牙質薄片を同一患者のポケットに挿入した。2週間後薄片上に形成された縁下プラークを走査型電子顕微鏡観察により両群を比較検討した。 その結果, 縁下プラークの根尖方向への平均形成距離は, H群で, 0.6±0.6mm, P群では, 2.5±0.9mmであり, P群がH群より有意に大きな値を示した。プロービング深...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 38; no. 2; pp. 200 - 210
Main Authors 田中, 佐織, 川浪, 雅光, 藤井, 美弥, 滑川, 貴彦, 加藤, 熈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 1996
日本歯周病学会
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Summary:本研究の目的は, 歯周局所の環境の違いがスケーリング, ルートプレーニング後の, 歯肉縁下プラーク再形成に及ぼす影響を検索することである。10名の被験者から健常部位 (H群), 歯周炎罹患部位 (P群) を各1部位選択し, 実験開始時に縁上縁下のスケーリング, ルートプレーニングを行い, 象牙質薄片を同一患者のポケットに挿入した。2週間後薄片上に形成された縁下プラークを走査型電子顕微鏡観察により両群を比較検討した。 その結果, 縁下プラークの根尖方向への平均形成距離は, H群で, 0.6±0.6mm, P群では, 2.5±0.9mmであり, P群がH群より有意に大きな値を示した。プロービング深さに対するプラーク形成距離の割合を同一患者のH群とP群を比較すると, H群26.7±23.0%, P群では, 50.0±29.1%であった。細菌叢は, H群は, 球菌, 桿菌が主体で, スピロヘータは, 見られなかった。P群は, 球菌, 桿菌の他に糸状菌やスピロヘータなど複雑な細菌叢を呈し, 白血球も多数観察された。以上の結果から, 歯周ポケットや炎症など歯周局所の環境が縁下プラークの再形成に影響を及ぼしている可能性が明らかとなった。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.38.200