口腔内損傷部に対するSI-3906の有効性と有用性に関する臨床的研究
口腔内は物理・化学的ならびに細菌的刺激の横浴する環境下にある。したがって抜歯創での後感染などの問題も生じる。また, 口腔内に貼用した薬剤も唾液の介在や咀嚼, 飲食, 談話などの運動により短時間のうちに脱離・流出し, 結果として十分な薬効が得られないケースもある。そこでわれわれは, これら複雑な口腔内の環境を勘案し, 貼用薬剤をできるだけ長時間患部ならびに施術部に滞留・保持させ, 同時に外部からの刺激を物理的に遮断する目的で全く新しい組成, 形態ならびに粘着性を有するフィルム状組成物であるSI-3906を開発, それを臨床的に応用し, 以下のような結果を得た。 1. SI-3906は平均4時間以...
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Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 29; no. 2; pp. 641 - 660 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
1987
日本歯周病学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0385-0110 1880-408X |
DOI | 10.2329/perio.29.641 |
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Summary: | 口腔内は物理・化学的ならびに細菌的刺激の横浴する環境下にある。したがって抜歯創での後感染などの問題も生じる。また, 口腔内に貼用した薬剤も唾液の介在や咀嚼, 飲食, 談話などの運動により短時間のうちに脱離・流出し, 結果として十分な薬効が得られないケースもある。そこでわれわれは, これら複雑な口腔内の環境を勘案し, 貼用薬剤をできるだけ長時間患部ならびに施術部に滞留・保持させ, 同時に外部からの刺激を物理的に遮断する目的で全く新しい組成, 形態ならびに粘着性を有するフィルム状組成物であるSI-3906を開発, それを臨床的に応用し, 以下のような結果を得た。 1. SI-3906は平均4時間以上患部ならびに施術部に付着していた。 2. 他薬剤との併用による付着時間の長いことから, 特に長時間患部や施術部に滞留・保持させることが望まれる種々剤型の薬剤との併用が有効である。 3. SI-3906単独使用による付着時間も長いことから, 口腔内の損傷部に対する直接的な刺激の遮断に働き, 疼痛の緩和をはかる可能性を有している。 4. 歯周外科手術時でのペリオドンタルパック内への縫合糸埋入防止ならびに錫箔, ペリオドンタルパックの代用としても有効である。 5. 全例に副作用は認められなかった。 |
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ISSN: | 0385-0110 1880-408X |
DOI: | 10.2329/perio.29.641 |