CO2レーザー照射が歯周組織再生に与える影響について
本研究の目的は, レーザー照射範囲が表層に限局する性質を有するCO2レーザーを用い, 歯周治療の中で新付着の場を形成する処置として注目されている, 歯根面に対する応用の可能性について検索を行った。 歯根象牙質表面へCO2レーザーを応用した際に生じる形態学的な構造変化, および歯根象牙質内へのレーザーの到達深度について走査型電子顕微鏡, 共焦点レーザー顕微鏡を用いて検索を行った。また, CO2レーザー照射後の歯周組織再生に関しては, イヌに作製した実験的歯周炎の部位にレーザーを応用した後, 新付着や再生骨量について病理組織学的検索を行い, 以下の結果を得た。 1) 歯根象牙質表面のスメア層の除去...
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Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 41; no. 3; pp. 264 - 276 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
1999
日本歯周病学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0385-0110 1880-408X |
DOI | 10.2329/perio.41.264 |
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Summary: | 本研究の目的は, レーザー照射範囲が表層に限局する性質を有するCO2レーザーを用い, 歯周治療の中で新付着の場を形成する処置として注目されている, 歯根面に対する応用の可能性について検索を行った。 歯根象牙質表面へCO2レーザーを応用した際に生じる形態学的な構造変化, および歯根象牙質内へのレーザーの到達深度について走査型電子顕微鏡, 共焦点レーザー顕微鏡を用いて検索を行った。また, CO2レーザー照射後の歯周組織再生に関しては, イヌに作製した実験的歯周炎の部位にレーザーを応用した後, 新付着や再生骨量について病理組織学的検索を行い, 以下の結果を得た。 1) 歯根象牙質表面のスメア層の除去と開口の増加は, エネルギー密度 (0.6J/cm2~1.0J/cm2) に依存していた。さらにエネルギー密度が1.2J/cm2以上では, 管間象牙質に像が観察された。 2) 歯根象牙質表層の深達性は, エネルギー密度に比例して増加が認められた。 3) 歯根象牙質表面の形態学的な構造変化, および歯根象牙質内への到達深度は, エネルギー密度1.0J/cm2が根面処理に最も適していると考えられる像を呈した。 4) エネルギー密度1.0J/cm2では, イヌの実験的歯周炎のフラップ手術時に併用した場合, 術後CO2レーザー照射の併用を行わなかった場合と比較し, 新付着および新生骨に有意な再生が認められた。 |
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ISSN: | 0385-0110 1880-408X |
DOI: | 10.2329/perio.41.264 |