成人性歯周炎患者の食品摂取状況と食習慣に関する横断研究

この調査の目的は, 食生活に関する質問表を介して成人性歯周炎患者の習慣的な食品摂取状況を把握し, 食品のとり方と本疾患との関係, さらに食品のとり方に影響する要因 (食習慣や生活習慣) を明らかにすることである。調査は, 中等度成人性歯周炎と診断された患者44名を対象に実施した。各食品群の摂取頻度については, 摂取状況を総合的に評価するためバランススコア (12の食品群を厚生省策定の6つの食品群に分類し, 食品摂取のバランスが好ましいかを評価するスコア) を求め, バランススコアと食習慣あるいは生活習慣との関連性を調べた。その結果, 被験者の平均バランススコアは, 12.5 (女性13.1,...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 39; no. 2; pp. 250 - 263
Main Authors 池田, 克已, 下島, 孝裕, 廣井, 美紀, 須藤, 洋太郎, 多武保, 弓江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 1997
日本歯周病学会
Subjects
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.39.250

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Summary:この調査の目的は, 食生活に関する質問表を介して成人性歯周炎患者の習慣的な食品摂取状況を把握し, 食品のとり方と本疾患との関係, さらに食品のとり方に影響する要因 (食習慣や生活習慣) を明らかにすることである。調査は, 中等度成人性歯周炎と診断された患者44名を対象に実施した。各食品群の摂取頻度については, 摂取状況を総合的に評価するためバランススコア (12の食品群を厚生省策定の6つの食品群に分類し, 食品摂取のバランスが好ましいかを評価するスコア) を求め, バランススコアと食習慣あるいは生活習慣との関連性を調べた。その結果, 被験者の平均バランススコアは, 12.5 (女性13.1, 男性10.6) であり, 女性の方がわずかに高かった。バランススコアと個々の食品群との関係については, 特に魚類, 豆類, 野菜類および果物類の摂取頻度とバランススコアとの間で関連性を示した。すなわち, バランススコアの好ましくない群 (13≧バランススコア≧0) では, これら食品の摂取頻度は少なかった。食習慣との関連においては, 朝食を毎日食べる, 食事を楽しんで食べている者ほどバランススコアは高く, 逆に, 食事に費やす時間が速い, 食事時間が不規則である, あるいは濃い味を好む者ほど, バランススコアは低い傾向を示した。一方, 生活習慣との関連では, 喫煙者群は非喫煙者群に比較して有意にバランススコアの低下が認められた。以上の結果から, 成人性歯周炎患者の多くで食品のとり方に偏りがあること, そしてこの偏りが食習慣や生活習慣と関連していることが示唆された。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.39.250