カリウムチャンネルによる脳循環調節

カリウムチャンネルは,ほぼすべての細胞膜に存在し,その膜電位の調節に関与している.脳血管においては,ATP感受性カリウムチャンネル,カルシウム作動性カリウムチャンネル,電位依存性(遅延整流性)カリウムチャンネル,内向き整流性カリウムチャンネルの少なくとも4種類のカリウムチャンネルが同定されている.ATP感受性カリウムチャンネルとカルシウム作動性カリウムチャンネルが活性化されると,血管平滑筋の過分極が起こり,脳血管は拡張する.これらのカリウムチャンネルは,種々の刺激による脳血管拡張反応を媒介する重要な因子である.また,高血圧・糖尿病などの病態において,これらのカリウムチャンネルの活性が変化してい...

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Published in脳卒中 Vol. 20; no. 2; pp. 225 - 238
Main Authors 藤島, 正敏, 北園, 孝成, 竹迫, 仁則, 井林, 雪郎, 長尾, 哲彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1998
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.20.225

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Summary:カリウムチャンネルは,ほぼすべての細胞膜に存在し,その膜電位の調節に関与している.脳血管においては,ATP感受性カリウムチャンネル,カルシウム作動性カリウムチャンネル,電位依存性(遅延整流性)カリウムチャンネル,内向き整流性カリウムチャンネルの少なくとも4種類のカリウムチャンネルが同定されている.ATP感受性カリウムチャンネルとカルシウム作動性カリウムチャンネルが活性化されると,血管平滑筋の過分極が起こり,脳血管は拡張する.これらのカリウムチャンネルは,種々の刺激による脳血管拡張反応を媒介する重要な因子である.また,高血圧・糖尿病などの病態において,これらのカリウムチャンネルの活性が変化していることが報告されており,各病態との関連が注目されている.近年,ATP感受性カリウムチャンネルの開口薬が,くも膜下出血による脳血管攣縮を改善し,脳梗塞巣を縮小させることが報告されている.すなわち,カリウムチャンネルは,脳血管障害治療の新たなターゲットとなってきている.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.20.225