胸椎圧迫骨折を契機に増悪した左下肢有痛性筋痙攣に対し交感神経節ブロックが奏効した70歳男性例

症例は70歳男性である.66歳時,第3,第4腰椎後方除圧術後より左下肢に有痛性筋痙攣が出現した.69歳時,第12胸椎圧迫骨折後より筋痙攣は増悪し,強い疼痛をともない膝および足関節の自動的・他動的運動で誘発されようになった.左L3-S1神経根ブロックによる感覚入力の遮断で筋痙攣は消失したことから,責任病巣は左L3-S1神経根が考えられた.さらに,同期性筋痙攣を呈しGABA作動薬が有効であることから,脊髄内抑制性介在ニューロン障害の関与も推察された.腰部交感神経節ブロックにより筋痙攣および疼痛の持続的な軽快がみられ,交感神経の持続的入力が筋痙攣の増悪因子であったと考えられた.本例は薬物治療に抵抗性...

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Published in臨床神経学 Vol. 48; no. 10; pp. 733 - 736
Main Authors 清水, 文崇, 川井, 元晴, 古賀, 道明, 小笠原, 淳一, 根来, 清, 神田, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2008
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Summary:症例は70歳男性である.66歳時,第3,第4腰椎後方除圧術後より左下肢に有痛性筋痙攣が出現した.69歳時,第12胸椎圧迫骨折後より筋痙攣は増悪し,強い疼痛をともない膝および足関節の自動的・他動的運動で誘発されようになった.左L3-S1神経根ブロックによる感覚入力の遮断で筋痙攣は消失したことから,責任病巣は左L3-S1神経根が考えられた.さらに,同期性筋痙攣を呈しGABA作動薬が有効であることから,脊髄内抑制性介在ニューロン障害の関与も推察された.腰部交感神経節ブロックにより筋痙攣および疼痛の持続的な軽快がみられ,交感神経の持続的入力が筋痙攣の増悪因子であったと考えられた.本例は薬物治療に抵抗性を示す一側下肢の有痛性筋痙攣に対し,腰部交感神経節ブロックが有効であったまれな一例である.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.48.733