左肺のVanishing Tumorの1症例
心不全の際に漏出液が肺の葉間肋膜腔の一部に限局して貯留し, レ線検査上一見腫瘍状の陰影を呈するものを, Gefterら1) (1950)がVanishing tumor of the lungと呼ぶことを提唱した. この種の症例は比較的稀なものであるが, 肺腫瘍との鑑別診断上注意を要するものである. わが国においては里吉ら2) (1960)によつて2例が報告されて以来次第に報告を増して, 今日までに48例に達してきた. 従来の報告例は右肺が多く, ことにわが国における報告2)~33)は全例右肺であつた. 最近われわれが経験した症例は左肺に認められたものであり, わが国における左肺のVanish...
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Published in | 医療 Vol. 22; no. 3; pp. 371 - 373 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
1968
医療同好会 |
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Summary: | 心不全の際に漏出液が肺の葉間肋膜腔の一部に限局して貯留し, レ線検査上一見腫瘍状の陰影を呈するものを, Gefterら1) (1950)がVanishing tumor of the lungと呼ぶことを提唱した. この種の症例は比較的稀なものであるが, 肺腫瘍との鑑別診断上注意を要するものである. わが国においては里吉ら2) (1960)によつて2例が報告されて以来次第に報告を増して, 今日までに48例に達してきた. 従来の報告例は右肺が多く, ことにわが国における報告2)~33)は全例右肺であつた. 最近われわれが経験した症例は左肺に認められたものであり, わが国における左肺のVanishing tumorの第1例と思われる. 「症例」67才. 男. 会社員. 家族歴:父, 脳溢血にて死亡 既往歴:昭和40年1月に心筋硬塞にて約4ヵ月間入院. 以後普通生活 現病歴:昭和41年3月ころから眩暈, 胸部違和感あり. 同年5月胸部レ線写真に異常陰影を発見され, 肺腫瘍の疑いにて同年6月14日当荘に入院す. 入院時所見:体格中等大, 栄養良, 肥満型. 浮腫・チアノーゼなどなし. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.22.371 |