多発性骨髄腫患者における自己末梢血幹細胞の高効率な採取法

緒言 多発性骨髄腫は, 形質細胞の腫瘍性増殖疾患であり, 腫瘍細胞産生の単クーロン性免疫グロブリンが血中や尿中にみられるとともに, 全身性骨融解が認められる疾患である1). 本疾患は高齢者に多く2,3), その治療法として, 他の造血器腫瘍に対して実施されている強力な薬物治療は, その有効性も明確でないことから, これまでわが国において積極的には実施されていなかった2-4). しかし, 近年欧米を中心にして造血幹細胞移植を併用した大量化学療法が検討され, 従来の化学療法よりも生存期間が延長することが示された3,4). さらに, 2回の自己末梢血幹細胞移植治療を行うことによって治療効果を高める試...

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Published in医療薬学 Vol. 30; no. 4; pp. 280 - 287
Main Authors 安田, 昌宏, 坂井田, 正光, 加藤, 博明, 横山, 裕子, 棚橋, 純子, 下村, 順子, 高橋, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2004
日本医療薬学会
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Summary:緒言 多発性骨髄腫は, 形質細胞の腫瘍性増殖疾患であり, 腫瘍細胞産生の単クーロン性免疫グロブリンが血中や尿中にみられるとともに, 全身性骨融解が認められる疾患である1). 本疾患は高齢者に多く2,3), その治療法として, 他の造血器腫瘍に対して実施されている強力な薬物治療は, その有効性も明確でないことから, これまでわが国において積極的には実施されていなかった2-4). しかし, 近年欧米を中心にして造血幹細胞移植を併用した大量化学療法が検討され, 従来の化学療法よりも生存期間が延長することが示された3,4). さらに, 2回の自己末梢血幹細胞移植治療を行うことによって治療効果を高める試みもなされている5). このような治療を行うにあたっては, あらかじめ複数回分の造血幹細胞を確保しておく必要があることから, 効果的な自己末梢血幹細胞採取法についての検討が必要と考えられる. しかし, 多発性骨髄腫患者の自己末梢血幹細胞の採取効率に関する国内のまとまった報告は検索範囲において認められなかった.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.30.280