ワルファリンカリウムとブコロームの相互作用に関する遡及的解析と薬学的留意点

緒言 ワルファリンカリウム(ワーファリン(R))は多くの薬剤と相互作用を有しており, 併用する薬剤によってはその作用が減弱し, 血栓ができる危険性や, 逆にワルファリンの作用が増強され, 出血が誘発される危険性がある1,2). 相互作用を有する薬剤の中でも, 非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤は, 血中においてワルファリンとアルブミンの結合を競合的に阻害し, 遊離型のワルファリンを増加させること, ならびに, 解熱鎮痛消炎剤そのものが持つ抗血小板作用によって, 時には出血傾向を引き起こす危険性もある. 逆に, この相互作用を利用し, ワルファリンの投与量を減らす目的で, ブコローム(パラミヂン(R)...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療薬学 Vol. 29; no. 6; pp. 740 - 743
Main Authors 小嶋, 文良, 佐藤, 美智代, 東海林, 徹, 仲川, 義人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2003
日本医療薬学会
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:緒言 ワルファリンカリウム(ワーファリン(R))は多くの薬剤と相互作用を有しており, 併用する薬剤によってはその作用が減弱し, 血栓ができる危険性や, 逆にワルファリンの作用が増強され, 出血が誘発される危険性がある1,2). 相互作用を有する薬剤の中でも, 非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤は, 血中においてワルファリンとアルブミンの結合を競合的に阻害し, 遊離型のワルファリンを増加させること, ならびに, 解熱鎮痛消炎剤そのものが持つ抗血小板作用によって, 時には出血傾向を引き起こす危険性もある. 逆に, この相互作用を利用し, ワルファリンの投与量を減らす目的で, ブコローム(パラミヂン(R)カプセル, 300mg)との併用が以前より行われているが, 臨床報告は多くない3-5). そこで, われわれは当院におけるワルファリン投与患者を対象に, その処方ならびに, ブコロームとの併用療法の有無を調査し, 同一患者においてワルファリンとブコローム併用の効果を検証するとともに, 薬剤管理指導業務上参考となる知見を得たので報告する.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.29.740