国立高度専門医療センター, 国立病院・療養所の麻酔科の実態調査と麻酔科医不足の原因究明と改善策に関する研究

国立高度専門医療センター, 国立病院, 療養所の麻酔科医不足の原因究明を目的としてアンケートおよび業務量調査を行い, 公立病院と比較した. 国立病院群の麻酔科医師常勤82施設における麻酔科医師数は平均2.61±1.6名であった. 麻酔科医長の60%が国立病院群からの転職を考えたことがあり, 理由は給与, 公務員服務規定, 待遇の3項目で81%に達した. 一方, 麻酔科医師の供給源である大学麻酔科にとって国立病院群の人気はなく(47%), 出張を最も嫌がる病院(11%)であり, その理由は現麻酔科医長の回答結果と同じであった. 業務量に関する500床以上の施設比較では, 麻酔科管理手術件数の割合...

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Published in医療 Vol. 56; no. 12; pp. 745 - 750
Main Authors 柳下, 芳寛, 清水, 幸雄, 高沢, 鞆子, 野見山, 延, 山根, 健, 竹田, 清, 宮崎, 久義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 2002
国立医療学会
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Summary:国立高度専門医療センター, 国立病院, 療養所の麻酔科医不足の原因究明を目的としてアンケートおよび業務量調査を行い, 公立病院と比較した. 国立病院群の麻酔科医師常勤82施設における麻酔科医師数は平均2.61±1.6名であった. 麻酔科医長の60%が国立病院群からの転職を考えたことがあり, 理由は給与, 公務員服務規定, 待遇の3項目で81%に達した. 一方, 麻酔科医師の供給源である大学麻酔科にとって国立病院群の人気はなく(47%), 出張を最も嫌がる病院(11%)であり, その理由は現麻酔科医長の回答結果と同じであった. 業務量に関する500床以上の施設比較では, 麻酔科管理手術件数の割合は公立病院62.4%, 国立病院群は44.7%と有意に少なく, 麻酔科医師数の差(公立:7.2±3.1人, 国立病院群:3.3±1.8人)によると考えられた. 一方, 麻酔科医師一人当りの年間麻酔件数は公立病院の351.4±118.3件に対し国立病院群516.2±199.6件と有意に業務量が多いことも示された. そのためか麻酔科業務は手術室に限られ麻酔科外来(ペインクリニック)も開設できない施設が63.2%に達している. 現在の国立病院群の麻酔科医師不足を改善するには, 給与や公務員服務規定などは困難であろうが, まず定員数を増やし業務状況を改善することが必須であると考えられる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.56.745