副鼻腔真菌症の病理診断と原因菌種の多様性
副鼻腔真菌症は,真菌による粘膜浸潤の有無で浸潤性と非浸潤性に分類される.浸潤性は,病勢進行の速さにより急性浸潤性と慢性浸潤性に分類される.一方非浸潤性は,慢性非浸潤性とアレルギー性真菌性副鼻腔炎に分類される.菌球型とも呼ばれる慢性非浸潤性がわが国では大半を占め,つぎにアレルギー性真菌性副鼻腔炎で,浸潤性は急性も慢性もかなり少ない.浸潤性では,病理組織学的に粘膜内への菌糸による浸潤が認められる.さらに急性浸潤性では菌糸の血管侵襲も見られるが,慢性浸潤性では血管侵襲は少ない.非浸潤性では真菌は副鼻腔粘膜組織に浸潤していない.菌球が副鼻腔組織に接していても,その菌糸の組織内浸潤は認められない.菌球内...
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Published in | Medical Mycology Journal Vol. 58; no. 4; pp. J127 - J132 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
Tokyo
日本医真菌学会
01.01.2017
Japan Science and Technology Agency |
Subjects | |
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ISSN | 2185-6486 2186-165X |
DOI | 10.3314/mmj.17.018 |
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Summary: | 副鼻腔真菌症は,真菌による粘膜浸潤の有無で浸潤性と非浸潤性に分類される.浸潤性は,病勢進行の速さにより急性浸潤性と慢性浸潤性に分類される.一方非浸潤性は,慢性非浸潤性とアレルギー性真菌性副鼻腔炎に分類される.菌球型とも呼ばれる慢性非浸潤性がわが国では大半を占め,つぎにアレルギー性真菌性副鼻腔炎で,浸潤性は急性も慢性もかなり少ない.浸潤性では,病理組織学的に粘膜内への菌糸による浸潤が認められる.さらに急性浸潤性では菌糸の血管侵襲も見られるが,慢性浸潤性では血管侵襲は少ない.非浸潤性では真菌は副鼻腔粘膜組織に浸潤していない.菌球が副鼻腔組織に接していても,その菌糸の組織内浸潤は認められない.菌球内には分生子頭やシュウ酸カルシウム結晶などが認められることがあり,原因真菌の同定に寄与する.アレルギー性真菌性副鼻腔炎は,好酸球集団が散在するアレルギー性ムチンと呼ばれる粘液が特徴的で,その中に真菌要素が少数認められる.病理組織学的観察は各病型を診断する際に重要で,特に浸潤性か非浸潤性かを鑑別するのに必須である. |
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Bibliography: | ObjectType-Article-1 SourceType-Scholarly Journals-1 ObjectType-Feature-2 content type line 14 |
ISSN: | 2185-6486 2186-165X |
DOI: | 10.3314/mmj.17.018 |