泥火山研究の最前線-陸上泥火山研究における最近8年の進展

日本および台湾の陸上泥火山は冠線および断層沿いに分布している.冠線沿いに分布する泥火山では,不透水性キャップロックの下位に形成される高塩濃度地下水により飽和したマッドチャンバーにおいて,脱ガスが起こり,発生した高いガス圧により流体が上方へ水圧破砕を繰り返しながら移動し,地表において弱線部より破壊的噴出を行う.その際,地表部に様々な規模の陥没地形を生成する.地表部にキャップロックが分布しない場合には,穏やかに高塩濃度地下水がキャップロックの下部や下位の地層から湧出し,日本海側の堆積岩分布地域では地すべりの誘因となっている.流体は含水比が高く,高まりを有しないプール型を形成する.断層沿い分布する泥...

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Published in地質学雑誌 Vol. 126; no. 1; pp. 39 - 51
Main Authors 浅野, 慶治, 渡辺, 征稔, 田中, 和広, 小松原, 大, 鈴木, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 15.01.2020
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ISSN0016-7630
1349-9963
DOI10.5575/geosoc.2018.0035

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Summary:日本および台湾の陸上泥火山は冠線および断層沿いに分布している.冠線沿いに分布する泥火山では,不透水性キャップロックの下位に形成される高塩濃度地下水により飽和したマッドチャンバーにおいて,脱ガスが起こり,発生した高いガス圧により流体が上方へ水圧破砕を繰り返しながら移動し,地表において弱線部より破壊的噴出を行う.その際,地表部に様々な規模の陥没地形を生成する.地表部にキャップロックが分布しない場合には,穏やかに高塩濃度地下水がキャップロックの下部や下位の地層から湧出し,日本海側の堆積岩分布地域では地すべりの誘因となっている.流体は含水比が高く,高まりを有しないプール型を形成する.断層沿い分布する泥火山は,破砕帯沿いに,より深部から流体が上昇し,破砕帯に沿って穏やかに湧出する.流体は含水比が低くコーン型の高まりを形成する.陸上泥火山の噴出特性や噴出する流体の上昇過程は地表部の地質構造に規制されている.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.2018.0035