関東平野中央部の地下に分布する鮮新-更新統の層序と構造運動

関東平野中央部で掘削されボーリングコアの解析に基づき,同地域の地下600mまでの上総層群および下総層群相当層の層序を検討し,間に挟在する海成層と海洋酸素同位体比ステージ(MIS)との対比を試みた.本地域の上総層群相当層は,Gauss正磁極帯に対比される上部鮮新統と下部~中部更新統からなり,その上位に中~上部更新統の下総層群相当層が重なる.上総層群相当層準には,約1.6Ma付近に50~100万年間の堆積間隙を持つ不整合が認められる.約1.6Ma以降の地層には大きな堆積間隙は認められず,陸成層と海成層が周期的に繰り返す地層が重なる.対比された海成層の分布深度に基づくと,久喜市から春日部市付近が関東...

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Published in地質学雑誌 Vol. 123; no. 8; pp. 637 - 652
Main Authors 納谷, 友規, 本郷, 美佐緒, 植木, 岳雪, 八戸, 昭一, 水野, 清秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 15.08.2017
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Summary:関東平野中央部で掘削されボーリングコアの解析に基づき,同地域の地下600mまでの上総層群および下総層群相当層の層序を検討し,間に挟在する海成層と海洋酸素同位体比ステージ(MIS)との対比を試みた.本地域の上総層群相当層は,Gauss正磁極帯に対比される上部鮮新統と下部~中部更新統からなり,その上位に中~上部更新統の下総層群相当層が重なる.上総層群相当層準には,約1.6Ma付近に50~100万年間の堆積間隙を持つ不整合が認められる.約1.6Ma以降の地層には大きな堆積間隙は認められず,陸成層と海成層が周期的に繰り返す地層が重なる.対比された海成層の分布深度に基づくと,久喜市から春日部市付近が関東平野中央部における1.6Ma以降の沈降運動の中心であることが示された.同時に,不整合の存在からは,この沈降は第四紀を通した運動ではなく,約1.6Ma以降の構造運動であると解釈される.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.2017.0015