水蒸気噴火の地質学的研究

噴出物中に本質物を含まない水蒸気噴火は,地球上でもっともありふれた噴火の一つである.我々は水蒸気噴火の各種特徴のレビューを行った.水蒸気噴火は,過熱水が急激に水蒸気に変化することで発生する噴火である.水蒸気噴火の噴出物は,粘土分に富んだ火山灰と変質ないし未変質の火山礫・火山岩塊で構成される.一回の水蒸気噴火は1時間から1日程度で終了することが多いが,同程度の規模の噴火を数年間にわたり繰り返すこともある.一回の水蒸気噴火における噴出物量は108m3(見かけ体積)以下である.水蒸気噴火で発生する現象は,降下テフラ,投出岩塊,比較的低温(概ね100°C程度)の火砕流,火口噴出型ラハールなどである.こ...

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Published in地質学雑誌 Vol. 124; no. 4; pp. 231 - 250
Main Authors 大場, 司, 及川, 輝樹, 佐々木, 寿, 藤縄, 明彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 15.04.2018
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ISSN0016-7630
1349-9963
DOI10.5575/geosoc.2017.0071

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Summary:噴出物中に本質物を含まない水蒸気噴火は,地球上でもっともありふれた噴火の一つである.我々は水蒸気噴火の各種特徴のレビューを行った.水蒸気噴火は,過熱水が急激に水蒸気に変化することで発生する噴火である.水蒸気噴火の噴出物は,粘土分に富んだ火山灰と変質ないし未変質の火山礫・火山岩塊で構成される.一回の水蒸気噴火は1時間から1日程度で終了することが多いが,同程度の規模の噴火を数年間にわたり繰り返すこともある.一回の水蒸気噴火における噴出物量は108m3(見かけ体積)以下である.水蒸気噴火で発生する現象は,降下テフラ,投出岩塊,比較的低温(概ね100°C程度)の火砕流,火口噴出型ラハールなどである.このうち低温の火砕流,火口噴出型ラハールの詳しい記載は少ない.層相からそれらの現象を判断し復元できるようにすることは今後の課題である.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.2017.0071