腸管気腫症および門脈ガス血症治癒後低血糖を起こした1例

『I 緒言』 門脈ガス血症(hepatic portal venous gas;以下, HPVGと略す)はそれ自体が独立した疾患でなく, 腸管壊死を伴うなどの重篤な疾患の際に認められる比較的まれな病態で, 予後の不良の徴候とされているが1)2), 腸管壊死を伴わず, 一過性の虚血による粘膜障害に腸管内圧の亢進が加わって発生したHPVGの予後は良好と考えられている3)-8). 一方, 腸管気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis;以下PCIと略す)は腸管壁内に多数の含気性小嚢胞が集簇して発生する病態で, これも壊死を含めた腸管損傷に関与する徴候とされ, 両者の...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 59; no. 4; pp. 265 - 271
Main Authors 麻沼和彦, 前澤毅, 小池綏男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2011
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ISSN0037-3826
DOI10.11441/shinshumedj.59.265

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Summary:『I 緒言』 門脈ガス血症(hepatic portal venous gas;以下, HPVGと略す)はそれ自体が独立した疾患でなく, 腸管壊死を伴うなどの重篤な疾患の際に認められる比較的まれな病態で, 予後の不良の徴候とされているが1)2), 腸管壊死を伴わず, 一過性の虚血による粘膜障害に腸管内圧の亢進が加わって発生したHPVGの予後は良好と考えられている3)-8). 一方, 腸管気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis;以下PCIと略す)は腸管壁内に多数の含気性小嚢胞が集簇して発生する病態で, これも壊死を含めた腸管損傷に関与する徴候とされ, 両者の合併は強く腸管壊死を示唆する所見と考えられている9). 今回われわれは, 両者を合併するも保存的療法で軽快したが, 経口摂取後に低血糖症, 呼吸停止, 心停止となり死亡に至った症例を経験したので報告する. 『II 症例』 患者:78歳, 男性. 主訴:嘔吐. 家族歴:特記事項なし.
ISSN:0037-3826
DOI:10.11441/shinshumedj.59.265