最近経験した男性乳癌の2例
「I. はじめに」 男性乳癌の発症頻度は女性患者の1%未満と稀で, 好発年齢は60歳代後半で女性患者と比較して5~10歳程度高齢者に発症するとされている. また, 男性乳癌の予後は女性と比較して不良と考えられてきたが, 現在は年齢などの予後因子を考慮するとほとんど差がないことがわかってきた. 我々は, 浸潤性乳管癌と診断され内分泌療法のみで腫瘍が消失した1例と, 乳房Paget病を最近経験したので, 考察もふまえ報告する. 「II. 症例」 症例1:79歳, 男性. 主訴:右乳頭変形. 既往歴・家族歴:特記事項なし. 現病歴:初診時の約1年前から右乳頭変形を自覚していた. 初診時現症:右乳頭直...
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Published in | 信州医学雑誌 Vol. 58; no. 1; pp. 11 - 15 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
信州医学会
2010
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ISSN | 0037-3826 |
DOI | 10.11441/shinshumedj.58.11 |
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Summary: | 「I. はじめに」 男性乳癌の発症頻度は女性患者の1%未満と稀で, 好発年齢は60歳代後半で女性患者と比較して5~10歳程度高齢者に発症するとされている. また, 男性乳癌の予後は女性と比較して不良と考えられてきたが, 現在は年齢などの予後因子を考慮するとほとんど差がないことがわかってきた. 我々は, 浸潤性乳管癌と診断され内分泌療法のみで腫瘍が消失した1例と, 乳房Paget病を最近経験したので, 考察もふまえ報告する. 「II. 症例」 症例1:79歳, 男性. 主訴:右乳頭変形. 既往歴・家族歴:特記事項なし. 現病歴:初診時の約1年前から右乳頭変形を自覚していた. 初診時現症:右乳頭直下に径2.5cmの硬い腫瘤を触知した. 腋窩リンパ節は触知しなかった. 超音波検査:16×16×12mmで, 多角形の腫瘤性病変を認めた. 境界は不明瞭で, 一部大胸筋への浸潤が疑われた(図1). 針生検:乳頭腺管癌, エストロゲンレセプター(以下ER)強陽性, プロゲステロンレセプター(以下PgR)強陽性, Her2(1+)と診断された(図2). |
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ISSN: | 0037-3826 |
DOI: | 10.11441/shinshumedj.58.11 |