悪性神経膠腫に対する治療戦略 -難治性がんの克服に向けて
「I はじめに」脳腫瘍は人口10万人当たり毎年10人程度発生すると推測されている. 脳腫瘍には, 脳実質内発生と脳実質外発生があり, 脳実質内の代表的な腫瘍が神経膠腫(グリオーマ, 全原発性脳腫瘍の26%)である. 悪性神経膠腫は原発性脳腫瘍において最も頻度の高い腫瘍の1つであり, 診断と治療の医療技術が進歩しているにも関わらず, 未だ十分な治療成績が得られていないのが現状である. 神経膠腫は病理組織学的に4段階のグレードに分類され(World Health Organization:WHO分類), 悪性神経膠腫は悪性星細胞腫(WHO grade III)と膠芽腫(glioblastoma,...
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Published in | 信州医学雑誌 Vol. 58; no. 5; pp. 189 - 200 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
信州医学会
2010
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ISSN | 0037-3826 |
DOI | 10.11441/shinshumedj.58.189 |
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Summary: | 「I はじめに」脳腫瘍は人口10万人当たり毎年10人程度発生すると推測されている. 脳腫瘍には, 脳実質内発生と脳実質外発生があり, 脳実質内の代表的な腫瘍が神経膠腫(グリオーマ, 全原発性脳腫瘍の26%)である. 悪性神経膠腫は原発性脳腫瘍において最も頻度の高い腫瘍の1つであり, 診断と治療の医療技術が進歩しているにも関わらず, 未だ十分な治療成績が得られていないのが現状である. 神経膠腫は病理組織学的に4段階のグレードに分類され(World Health Organization:WHO分類), 悪性神経膠腫は悪性星細胞腫(WHO grade III)と膠芽腫(glioblastoma, WHO grade IV)に分類される. 平均生存期間は悪性星細胞腫で2-3年, 膠芽腫で1年前後, また, 膠芽腫の5年生存率は7.2%である1). 膠芽腫は, 現在でもヒト悪性腫瘍の中で最も難治性の腫瘍の1つである2). 神経膠腫は浸潤性格が強く, 原則として腫瘍の境界が存在しない. |
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ISSN: | 0037-3826 |
DOI: | 10.11441/shinshumedj.58.189 |