経肛門的イレウス管により穿孔を来し, 腹膜転移を生じたS状結腸癌の1例

左側結腸癌による腸閉塞に対して, 経肛門的イレウス管を挿入後に癌部の穿孔を来たし緊急手術を施行した症例を経験した. 症例は60歳の男性で, 腸閉塞の診断で入院し, 経鼻的イレウス管を挿入されたが効果なく, その後にS状結腸癌と診断し, 経肛門的イレウス管を挿入した. 2日後から排便も認めるようになったが, 汎発性腹膜炎を来たし, 緊急手術を施行した. 癌部の穿孔による腹膜炎で, Hartmann手術を施行した. S状結腸癌の手術所見, 病理組織所見は, P0, H0, M0, pSS, pN0, ly2, v0の中分化腺癌であった. 術後19カ月後に腹膜播種性転移による腸閉塞を来たし, 腹膜播...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 60; no. 8; pp. 471 - 474
Main Authors 辰川, 貴志子, 工藤, 進英, 田中, 淳一, 石田, 文生, 遠藤, 俊吾, 出口, 義雄, 日高, 英二, 永田, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2007
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.60.471

Cover

More Information
Summary:左側結腸癌による腸閉塞に対して, 経肛門的イレウス管を挿入後に癌部の穿孔を来たし緊急手術を施行した症例を経験した. 症例は60歳の男性で, 腸閉塞の診断で入院し, 経鼻的イレウス管を挿入されたが効果なく, その後にS状結腸癌と診断し, 経肛門的イレウス管を挿入した. 2日後から排便も認めるようになったが, 汎発性腹膜炎を来たし, 緊急手術を施行した. 癌部の穿孔による腹膜炎で, Hartmann手術を施行した. S状結腸癌の手術所見, 病理組織所見は, P0, H0, M0, pSS, pN0, ly2, v0の中分化腺癌であった. 術後19カ月後に腹膜播種性転移による腸閉塞を来たし, 腹膜播種巣と回腸部分切除を行った. その後に化学療法を行ったが46カ月後に原癌死した. 本例の腹膜播種性転移は, 経肛門的イレウス管挿入後に生じた癌部の穿孔に起因する可能性も考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.60.471