炎症歯肉における接着分子の免疫組織化学的研究

本研究は, ヒト歯肉組織における接着分子の局在を免疫組織化学的に検索した。炎症歯肉組織 (16例) を用い, 10μmの凍結連続切片を作成し, 接着分子 (PECAM, ICAM-1, ELAM-1, VCAM-1) の免疫組織化学的染色を行なった。また, パラフィン連続切片でUEA-1レクチン, 第VIII関連因子, ラミニンの染色を行ない乳比較検討した。 1. 炎症歯肉の末梢血管上皮細胞にPECAM, ICAM-1, ELAM-1の強い染色性が認められ, 接着分子の活性が増加していると思われた。 2. 歯肉の毛細血管には, VCAM-1はほとんど染色されず, 結合組織のある細胞に弱い染色性...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 34; no. 2; pp. 395 - 401
Main Authors 保坂, 松治, 森, 昌彦, 村瀬, 範泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 1992
日本歯周病学会
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.34.395

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Summary:本研究は, ヒト歯肉組織における接着分子の局在を免疫組織化学的に検索した。炎症歯肉組織 (16例) を用い, 10μmの凍結連続切片を作成し, 接着分子 (PECAM, ICAM-1, ELAM-1, VCAM-1) の免疫組織化学的染色を行なった。また, パラフィン連続切片でUEA-1レクチン, 第VIII関連因子, ラミニンの染色を行ない乳比較検討した。 1. 炎症歯肉の末梢血管上皮細胞にPECAM, ICAM-1, ELAM-1の強い染色性が認められ, 接着分子の活性が増加していると思われた。 2. 歯肉の毛細血管には, VCAM-1はほとんど染色されず, 結合組織のある細胞に弱い染色性が認められた。 3. 血管内皮細胞は, UEA-1レクチン, 第VIII関連因子に陽性であった。 以上の結果より, 炎症歯肉はサイトカインなどにより活性化され, 血管内皮細胞, 白血球, リンパ球, 単球系細胞相互の接着分子が関与し, また結合組織細胞やその基質との関連にも接着分子が関与していると思われる。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.34.395