トロンビンの製錠化における薬剤学的特性と臨床試用に関する研究

トロンビンの商品形態は, 現在バィアルであり, 取り扱い上, 注射剤との紛らわしさ並びに病棟業務上での使用にも配慮することが必要である. このような背景を考慮し, トロンビンの経口投与における簡便化を目的にその製錠化を試み, 薬剤学的特性を検討した. 薬剤学的検討により, 調製したトロンビン錠の重量偏差試験および崩壊試験は日局11の規定に適合していた. また, トロンビンの活性は, バイアル製剤の約90%であつた. そこで今回, 臨床試用を目的に, トロンビン10,000単位錠を調製し, 食道静脈瘤硬化療法後の出血予防に10例を対象に実施した. その結果, 有効9例, やや有効1例の総合判定結...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 43; no. 5; pp. 565 - 568
Main Authors 八野, 芳已, 古川, 佳也, 寺田, 昭, 益沢, 学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1989
国立医療学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:トロンビンの商品形態は, 現在バィアルであり, 取り扱い上, 注射剤との紛らわしさ並びに病棟業務上での使用にも配慮することが必要である. このような背景を考慮し, トロンビンの経口投与における簡便化を目的にその製錠化を試み, 薬剤学的特性を検討した. 薬剤学的検討により, 調製したトロンビン錠の重量偏差試験および崩壊試験は日局11の規定に適合していた. また, トロンビンの活性は, バイアル製剤の約90%であつた. そこで今回, 臨床試用を目的に, トロンビン10,000単位錠を調製し, 食道静脈瘤硬化療法後の出血予防に10例を対象に実施した. その結果, 有効9例, やや有効1例の総合判定結果が得られ, その有用性が確認された. これらの結果より, トロンビンの製錠化は病棟業務上での使用簡便性の向上および臨床使用にも有益であると判断できた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.43.565