小児結腸ポリープの病態と治療に関する検討

過去20年間に当科で治療を行った小児結腸ポリープ26例を対象とし,後方視的に検討を行った.年齢分布は1歳∼13歳(平均4.0歳)で,3歳をピークに5歳以下の幼児例が23例であった.初発症状は,下血が17例と最も多く認められた.ポリープの脱出は6例であり,そのうち2例において初診時に直腸脱と誤診され,当科紹介後に確定診断がされた.発生部位は,肛門·直腸8例,S状結腸13例,下行結腸1例,横行結腸4例で,全例が単発性であった.治療は,経肛門的切除が6例,内視鏡的切除が18例に行われた.横行結腸原発の1例では,巨大ポリープによる多量出血で発症し緊急開腹術により楔状切除が行われた.24例で病理学的検索...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 61; no. 8; pp. 476 - 480
Main Authors 出口, 英一, 木村, 修, 深田, 良一, 岩井, 直躬, 文野, 誠久, 小野, 滋, 加藤, 久尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2008
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.61.476

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Summary:過去20年間に当科で治療を行った小児結腸ポリープ26例を対象とし,後方視的に検討を行った.年齢分布は1歳∼13歳(平均4.0歳)で,3歳をピークに5歳以下の幼児例が23例であった.初発症状は,下血が17例と最も多く認められた.ポリープの脱出は6例であり,そのうち2例において初診時に直腸脱と誤診され,当科紹介後に確定診断がされた.発生部位は,肛門·直腸8例,S状結腸13例,下行結腸1例,横行結腸4例で,全例が単発性であった.治療は,経肛門的切除が6例,内視鏡的切除が18例に行われた.横行結腸原発の1例では,巨大ポリープによる多量出血で発症し緊急開腹術により楔状切除が行われた.24例で病理学的検索が行われ,肛門部fibroepithelial polypの1例を除いて,全例若年性ポリープであった.小児結腸ポリープは,そのほとんどが良性の若年性ポリープであり,診断の際には全結腸の検索が必須である.また,ポリープ脱出が直腸脱と誤診される例があり,臨床上のpit fallとなると思われた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.61.476