ラット歯根膜の微細血管構築に関する研究

歯周疾患や加齢の実験モデルとして多用されているラットの歯根膜血管の微細構造を明らかにする目的で, 歯根が完成し, 十分な咬合機能を確立した直後である生後3ヶ月齢のWistar系雄性ラットを用いて, 下顎第一臼歯の歯根膜の組織構造と微細血管構築の観察を行なった。 歯根膜の血管構築は, 根尖部では歯槽骨よりに太い細動静脈の粗な血管網を形成し, そこから派出される毛細血管が, 根面の歯冠側に向けてヘヤーピンループを密に形成していた。それが根中央に向うにつれてヘヤーピンループの脚部が短くなりアーケード状に変化し, 歯槽骨頂部ではループは消失し束状を呈していた。 このように, 歯根膜の血管を観察した結果...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 36; no. 3; pp. 578 - 585
Main Authors 今井, 久夫, 山岡, 昭, 柳原, 一晃, 李, 繁良, 信藤, 孝博, 丹田, 博己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 1994
日本歯周病学会
Subjects
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.36.578

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Summary:歯周疾患や加齢の実験モデルとして多用されているラットの歯根膜血管の微細構造を明らかにする目的で, 歯根が完成し, 十分な咬合機能を確立した直後である生後3ヶ月齢のWistar系雄性ラットを用いて, 下顎第一臼歯の歯根膜の組織構造と微細血管構築の観察を行なった。 歯根膜の血管構築は, 根尖部では歯槽骨よりに太い細動静脈の粗な血管網を形成し, そこから派出される毛細血管が, 根面の歯冠側に向けてヘヤーピンループを密に形成していた。それが根中央に向うにつれてヘヤーピンループの脚部が短くなりアーケード状に変化し, 歯槽骨頂部ではループは消失し束状を呈していた。 このように, 歯根膜の血管を観察した結果, 根尖部, 根中央部および歯槽骨頂部において, 血管構築に形態差が認められた。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.36.578