急性肝炎の重症化に関する臨床的研究

408例の急性ウイルス性肝炎(A型66例, 散発性B型113例, 輸血後B型17例, 散発性非A非B型91例, 輪血後非A非B型121例)のうち, 経過中ヘパプラスチンテスト値が30%以下に低下した症例13例お, よび劇症肝炎あるいは亜急性肝炎と診断された26例, 計39例の重症型を分析し重症化に関わる因子を検討した. 重症型の頻度はA型4.5%(n=3), 散発性B型11.5%(n=13), 輸血後B型29.4%(n=5), 散発性非A非B型19.8%(n=18), 輸血後非A非B型0%(n=0)であり, 死亡率は, それぞれ0%, 30.8%, 100%, 72.2%, 0%であった. 血...

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Published in医療 Vol. 45; no. 8; pp. 728 - 733
Main Authors 松村, 暢之, 八橋, 弘, 井上, 長三, 岩波, 栄逸, 山口, 直行, 矢野, 右人, 浜崎, 圭輔, 古賀, 満明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1991
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.45.728

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Summary:408例の急性ウイルス性肝炎(A型66例, 散発性B型113例, 輸血後B型17例, 散発性非A非B型91例, 輪血後非A非B型121例)のうち, 経過中ヘパプラスチンテスト値が30%以下に低下した症例13例お, よび劇症肝炎あるいは亜急性肝炎と診断された26例, 計39例の重症型を分析し重症化に関わる因子を検討した. 重症型の頻度はA型4.5%(n=3), 散発性B型11.5%(n=13), 輸血後B型29.4%(n=5), 散発性非A非B型19.8%(n=18), 輸血後非A非B型0%(n=0)であり, 死亡率は, それぞれ0%, 30.8%, 100%, 72.2%, 0%であった. 血清学的検討では, A型とB型にHCV抗体を, B型にデルタ抗体を測定したが重感染の証拠は得られず, 散発性非A非B型ではHCV抗体は検出されずHCV感染の有無は不明であった. B型における重症化の指標として発症早期から陽性を示すHBs抗体は重要であったが, Pre-S2抗体は有用でなかった. 死亡例の肝組織豫は亜広汎壊死あるいは広汎壊死を呈し, 救命には可及的速やかで強力な肝不全対策が必要と考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.45.728