胃癌治癒切除後の転移性大腸癌切除例の検討
胃癌からの転移性大腸癌はまれで,原発性大腸癌との鑑別が問題となるだけでなく,治療方針も確立されていない.今回我々は胃癌治癒切除後の大腸転移に対して切除術を行った7例を経験したので臨床病理学的検討を加えて報告する.胃癌手術時の平均年齢は63歳であり,女性6例,男性1例であった.胃癌の肉眼形態は4型が3例,2型が2例,1型と3型がそれぞれ1例であった.組織型は7例が低分化腺癌が主体であった.転移再発までの期間は平均3年8カ月で,転移部位は直腸が3例,下行結腸が2例で,上行結腸と回盲部がそれぞれ1例であった.転移性大腸癌と術前診断されたのは4例であった.施行された術式は結腸半側切除3例,低位前方切除...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 63; no. 4; pp. 191 - 196 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2010
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.63.191 |
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Summary: | 胃癌からの転移性大腸癌はまれで,原発性大腸癌との鑑別が問題となるだけでなく,治療方針も確立されていない.今回我々は胃癌治癒切除後の大腸転移に対して切除術を行った7例を経験したので臨床病理学的検討を加えて報告する.胃癌手術時の平均年齢は63歳であり,女性6例,男性1例であった.胃癌の肉眼形態は4型が3例,2型が2例,1型と3型がそれぞれ1例であった.組織型は7例が低分化腺癌が主体であった.転移再発までの期間は平均3年8カ月で,転移部位は直腸が3例,下行結腸が2例で,上行結腸と回盲部がそれぞれ1例であった.転移性大腸癌と術前診断されたのは4例であった.施行された術式は結腸半側切除3例,低位前方切除2例,結腸部分切除1例,直腸切断術1例であった.組織型は全例低分化腺癌であった.転移形式は全例に播種性が疑われたが,2例にリンパ行性,1例に直接浸潤も考えられた.大腸術後平均生存期間は2年3カ月であった.未分化型の胃癌術後に大腸に病変を認めた場合には大腸転移の可能性を念頭に置く必要がある.限局した病変であれば大腸癌に準じた切除により比較的良好な予後が期待できる. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.63.191 |