被殼ならびに視床に出血がみられたBinswanger病の1剖検例

被殻ならびに視床に出血がみられたBinswanger病の1剖検例を報告した. 患者は77歳女性で, 高血圧の既往があり, 痴呆, 片麻痺, パーキンソニスムがみられ, また, けいれん発作とともに脳波ではperiodic activityを示し, CTでは両側被殻の低吸収域に加え, 脳室拡大と側脳室周囲の低吸収域(PVL)を伴う大脳萎縮がみられた. 病理学的には全身臓器の著明な動脈硬化症に加え, 大脳ではUfiberは保たれるも, 深部白質のび慢性の髄鞘の淡明化と高度の軸索の減少がみられた. 加えて, 大脳白質, 基底核, 視床, 橋底部に小梗塞巣が多発し, 同部位の小・細動脈の硬化が高度であ...

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Published in医療 Vol. 46; no. 6; pp. 444 - 449
Main Authors 福谷, 祐賢, 佐野, 譲, 斉藤, 弥章, 岡部, 外志彦, 渡辺, 駅七郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1992
国立医療学会
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Summary:被殻ならびに視床に出血がみられたBinswanger病の1剖検例を報告した. 患者は77歳女性で, 高血圧の既往があり, 痴呆, 片麻痺, パーキンソニスムがみられ, また, けいれん発作とともに脳波ではperiodic activityを示し, CTでは両側被殻の低吸収域に加え, 脳室拡大と側脳室周囲の低吸収域(PVL)を伴う大脳萎縮がみられた. 病理学的には全身臓器の著明な動脈硬化症に加え, 大脳ではUfiberは保たれるも, 深部白質のび慢性の髄鞘の淡明化と高度の軸索の減少がみられた. 加えて, 大脳白質, 基底核, 視床, 橋底部に小梗塞巣が多発し, 同部位の小・細動脈の硬化が高度であった. 両側被殻と左視床には高血圧性の出血巣がみられた. Binswanger病と高血圧性脳出血の合併について考察し, さらに, 本例にみられた痴呆と大脳白質病変との関連について考察した.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.46.444