エナメルマトリックスタンパクとGTR法との併用による歯周組織再生効果の組織学的研究

本研究の目的は, 歯肉剥離掻爬手術時にエナメルマトリックスタンパクおよびGTR法の応用によって生じる付着様式および歯周組織再生効果について検索することである。実験動物はビーグル犬10頭を使用し, 実験材料は吸収性コラーゲン膜 (Tissue Guide™) およびエナメルマトリックスタンパク (EMDOGAIN®) を使用した。実験方法は下顎左右側第三・第四前臼歯の歯肉弁を粘膜骨膜弁にて剥離後, 近心根に高さ5mm, 幅5mmの人工的裂開型骨欠損を作製し, 以下の4群を設定した。 (1) C群 (歯肉剥離掻爬手術のみを施行した群), (2) T群 (Tissue Guide™によるGTR法を施...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 42; no. 1; pp. 29 - 42
Main Authors 古郷, 辰二, 木次, 大介, 杉山, 貴志, 伊海, 博之, 古谷, 淳, 伏見, 肇, 児玉, 利朗, 弓場, 光泰, 田村, 利之, 堀, 俊雄, 堤, 弘治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 2000
日本歯周病学会
Subjects
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.42.29

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Summary:本研究の目的は, 歯肉剥離掻爬手術時にエナメルマトリックスタンパクおよびGTR法の応用によって生じる付着様式および歯周組織再生効果について検索することである。実験動物はビーグル犬10頭を使用し, 実験材料は吸収性コラーゲン膜 (Tissue Guide™) およびエナメルマトリックスタンパク (EMDOGAIN®) を使用した。実験方法は下顎左右側第三・第四前臼歯の歯肉弁を粘膜骨膜弁にて剥離後, 近心根に高さ5mm, 幅5mmの人工的裂開型骨欠損を作製し, 以下の4群を設定した。 (1) C群 (歯肉剥離掻爬手術のみを施行した群), (2) T群 (Tissue Guide™によるGTR法を施行した群), (3) E群 (EMDOGAIN®を応用した群), (4) TE群 (Tissue Guide™とEMDOGAIN ®の併用を施行した群)。観察期間は6週・12週とし, 病理組織学的に検索した。 その結果, T群, E群およびTE群においてはC群と比較して, 新生セメント質の形成量が顕著に認められた。更に, 3群間では新生セメント質内にセメント細胞様細胞の出現はほとんど観察されず, 根面に対する付着様式にも差異は認められなかった。一方, TE群では他群と比較して著明な骨再生が認められたことから, Tissue Guide™とEMDOGAIN®の併用による外科療法は, 歯周組織の再構築を助長する可能性が示唆された。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.42.29